■リアワイパーの機能の「実際」
改めて断っておけば、現在販売されているモデル全体としては、決してリアワイパーそのものの採用が減少しているわけではない。コンパクトカーやミニバン、軽自動車などでは安全性確保のための標準装備として欠かせぬことに変わりはないからだ。
そこでリアワイパーが現状でどのように扱われているかを調べていくと、多くの機能的なバリエーションがあることに改めて気づかされる。
最も基本的な仕様といえる「ウォッシャー&ワイパー」から始まって、間欠式(作動インターバルが変更可能な「時間調整式」)、センサーを利用した雨滴感知式などと多機能化が進んできた。
他の車両の機能と組み合わせて身近になりつつある機能では、ワイパー機能を「オン」にした状態でバックさせようと後退(リバース)ギアを選ぶと、自動的に作動する機能が挙げられる。
おもしろいのは前述したが、アルファード&ヴェルファイア、新型ノア&ヴォクシーの隠し(格納式)ワイパーである。
リアワイパーを使わない時はリアスポイラー部分に格納されており、リアワイパーのレバーをひねると出てきて稼働し、使わない時には再び格納されるという、購入したオーナーにしかわからないかもしれない優れモノだ。
いっぽうで、スポーツカーやクーペではリアワイパー装着車は珍しくなっている。たとえば、リアウインドウに熱線が埋め込まれるなど、リアワイパーを装着していない場合には、雨滴除去(と曇り防止など)に関しては「まあ有効かな」と思える程度にしか感じられない。
ユーザーによっては撥水(あるいは親水)コーティングなどを施す場合もあるだろうが、ひとつ注意しておきたいのはドライブレコーダーを後付けで装着する場合、ワイパーの可動域に合わせて装着する必要があることだ。
■人気の50車種のリアワイパー装着車の状況は?
ここからはリアワイパー装着の現状を知るために、自販連の通称名別ランキングの30車種、軽販売ランキング10車種、ボディ種別など、合わせて50車種超の設定を調べてみた。結果としては当然ながら、リアワイパーはほとんどのランキング車種で標準装備になっていた。
例外的なのは、トヨタではプリウスの廉価(燃費)グレードでは設定がないこと。軽自動車も標準装備が基本とはいえ、スズキのアルトではハイブリッドXでは標準ながら、その他のグレードでは4WD車について標準としている。ダイハツのタフトでも廉価グレードのみオプション設定とされている(価格は5500円)。
2022年7月の乗用車販売台数(自動車販売協会連合会調べ)は、1位はヤリスの1万8679台。ヤリスは基本的にボディ形状を問わず標準装備となる。
トヨタブランドでは、一部の廉価(燃費仕様)モデルや、スポーツ性を重視したGRシリーズのヤリスや86、スープラといったスポーツクーペなどを除き、基本的にほとんどのモデルで標準装備と捉えてよい。
ヤリスに続いて2位につけているカローラは、現状でなんとも幅広いモデルバリエーションになっているので面白い。
ちなみに、トヨタの現状での標準的な仕様といえるのは、「ウォッシャー連動間欠リアワイパー(リバース連動機能付)」。上級な車種やグレードになると、時間調整機能が追加されるケースが増えてくる。
カローラのリアワイパーの設定に関しては、継続販売されている旧型のセダンである「アクシオ」では、メーカーオプションで価格は1万5600円の設定。ワゴンの「フィールダー」は標準装備とされている。
対して現行モデルのセダンである「カローラ」は、フロントでは一部グレードで時間調整式としたフロントに対して、リアはメーカーオプションとして設定されている。
ワゴンの「ツーリング」や5ドアハッチバックの「カローラスポーツ」では標準装備される。最新モデルである「カローラクロス」も標準装備となる(一部グレード除き時間調整式)。
いっぽう、GRカローラ(ベースは5ドアのスポーツ)にも標準装備されたままなのは、WRCホモロゲーションモデルに準じた仕様となるGRヤリスとの立ち位置が異なるためだろう。
同じトヨタでも輸入車高級ブランドに近い位置づけとなるレクサスでは、セダン系やスポーツクーペには装備されないのに対して、UX/NXなどには装備するなど、ボディ形状で採用するかどうかを明確に決めているようで、後述する輸入車ブランドと共通の仕様設定ともいえる。
とはいえ、安全装備について抜かりがないトヨタであっても、採用では曖昧な部分が生じつつあることは間違いない。デザインや設計上で安全基準において問題がないのであれば、余分な装備ということになる。
ちなみに、トヨタブランドでは現状で新型クラウンのセダンは未発売だが、数少ないモデルとなるカムリや燃料電池車のミライに設定されていないのだから、将来セダンにおいてリアワイパーが消滅する可能性はあるはずだ。
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