■リアワイパーを省略する理由
いっぽう、欧州ブランドで明らかなのは、すでにセダンに限ってはリアワイパー装着モデルがほぼ見たらないことだ(ハッチバックやワゴンではほとんどが標準装備)。空力性能の向上がめざましいこともあるが、「見た目」と「燃費」の向上の一挙両得が狙えるのだから当然の流れといえる。
いまや風前の灯火といえる日本市場のセダンとして生き残っているスカイラインに設定がないのは、メインの北米市場など高速走行モードが多い海外市場向けの仕様では、セダンではあまり有効とはいえず、装備として省略せざるを得ない事情があるのだろう。
機能面での要素を物理的に突き詰めて無駄を省くことを考えれば、リアワイパーの必要性は、リアウインドウの傾斜角度がどの程度「寝ているのか」あるいは「立っているのか」という点に絞り込まれてくる。
ホイールとリアウインドウとの距離が接近していれば、路面からの埃や雨中の走行時での水飛沫などによる汚れが付着しやすいかどうかが要点となる。他にも、高速走行時にワイパーがバタつくような強風に見舞われる場合などを考えれば、未装着のほうがよいという考え方も成り立つ。
このように海外勢での設定がほぼ見当たらないことを見ても、ボディデザインに重きを置けば、セダンでのリアワイパーの消滅傾向は必然といえるかもしれない。
■重視すべきはデザインか、安全機能か?
リアワイパーが装着されるかどうかは、現状ではセダン、ハッチバック、ミニバン、ステーションワゴンなどといった車種のカテゴリーが明確であればわかりやすい。
たとえば、軽自動車はトールワゴン全盛ということもあって、パッケージングを考えれば垂直に立ったリアエンドは当然となるので標準装備が必須となるわけだ。細かくいえば、ボディタイプというよりは、リアエンドのデザインによって装着の有無が判断されることになる。
対して、「クーペ・ライク(のような)」といった商品性向上に重きを置いたデザインコンセプトが、リアワイパーの居場所を失わせつつある。空力性能を煮詰めて燃費を向上させるといった要素で設定が左右されることもある。
それでもリアワイパーの存在価値は、あくまで「安全性」すなわち「視界の確保」にある。日常使いでの降雨などへの対策はもちろんのこと、最近では珍しくもなくなってしまった豪雨や豪雪などの悪天候に対処するための安全装備であることを、肝に銘じておくべきだろう。
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