メディアでは「酷評」も… トヨタ ルーミーが「日本で最も売れてる乗用車」なのはなぜなのか?

■ルーミーはなぜこれほどまでに売れるのか

 販売が好調な一番の理由は、軽自動車で人気の高いスーパーハイトワゴンを、小型車サイズへ素直に拡大したことだ。

 開発期間が2年間と短く、軽自動車と異なる価値を追求する時間はない。

 そこでタントやN-BOXの拡大版を開発した。そこが「スーパーハイトワゴンは欲しいけれど、軽自動車は避けたい」と考えるユーザーの共感を呼んだワケだ。

 ルーミーの全長は、標準グレードが3700mmと短く、最小回転半径もカスタムG-T以外は4.6mだ。

 パッソとほぼ同じサイズだから運転しやすい。その一方で全高は1735mmと高いから、車内は広く、後席の頭上と足元にも充分な余裕がある。

「スーパーハイトワゴン×乗用車」の組み合わせが見事にユーザーの共感を呼んだ。「クルマは走りだけじゃなく、トータルの商品力が大切なのだ!」と渡辺陽一郎氏は語る
「スーパーハイトワゴン×乗用車」の組み合わせが見事にユーザーの共感を呼んだ。「クルマは走りだけじゃなく、トータルの商品力が大切なのだ!」と渡辺陽一郎氏は語る

 後席の背もたれを前側に倒すと、座面も下がって自転車を積める荷室になり、床を反転させると汚れを落としやすい素材が貼られている。

 収納設備も多く、500mLの紙コップが入るカップホルダーも装着した。

 後席側のドアはスライド式で、狭い場所での乗降性もいい。広さと使い勝手は、軽自動車のスーパーハイトワゴンと同等か、それ以上だ。

 価格は最も安い「X」が155万6500円、売れ筋の「G」は174万3500円だから、軽自動車のスーパーハイトワゴンと比べて15万円高い程度に収まる。

 動力性能の余裕も考えると、買い得度が強い。

 長所を書き出してみると、たしかに魅力があるとわかる。

 そして以前はルーミーと姉妹車のタンクが用意されたが、トヨタが全店で全車を売る体制に変わり、2020年9月のマイナーチェンジでタンクを廃止した。

 需要がルーミーに集中して、2021年1〜6月の登録台数は、前年の2倍になった。その後の売れゆきも好調を維持し続けている。

●トヨタ ルーミー(G-T 2WD)主要諸元
・全長×全幅×全高:3700×1670×1735mm
・ホイールベース:2490mm
・重量:1110kg
・パワーユニット:996cc、直3DOHCターボ
・最高出力:98ps/6000rpm
・最大トルク:14.3kgm/2400-4000rpm
・WLTCモード燃費:16.8km/L
・トランスミッション:CVT
・価格:186万4500円


【番外コラム】ルーミーの低評価はメディアにも原因がある?

 販売台数を考えると、自動車メディア界隈のルーミーに対する評価はちょっと低すぎるのではないか?

 渡辺陽一郎氏に問い詰めると、こう分析してくれた。

「試乗の時間は限られるから、居住性や積載性、車庫入れのしやすさなどは細かく見られず、走りのチェックが中心になっちゃう。

それはルーミーにとって不利だよね。

あと、評論家もメディアも趣味目線・クルマ好き目線でクルマを見る人が多くて、子育て世代目線で見る人があんまりいないことも原因だと思うよ」

【画像ギャラリー】ここにもあそこにも収納!! 自転車だってタテでラクラク!? 日本一売れている乗用車「ルーミー」をギャラリーでチェック(20枚)画像ギャラリー

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