あのアルファードも違う!! 完全に廃れた合掌型ワイパーはなんだったのか

■ふき取り面積がデカいもデメリットも多々

アルファロメオ ジュニア(1966)。イタリア車のご多分に漏れず当然のように不調をきたし、アーム同士がぶつかるトラブルもあった
アルファロメオ ジュニア(1966)。イタリア車のご多分に漏れず当然のように不調をきたし、アーム同士がぶつかるトラブルもあった

 長所はワイパーが長くできる、つまり左右のワイパーが重なる部分が多くなるので、拭き取り面積も広くなる。

 また、デザイン性などによって、左右の端が大きく湾曲しているガラスでも左右端ではアームが縦に近くなるので隅まできれいに拭くことができる。パラレル式だと、ブレードの先が浮いてしまうことがあるが、合掌型だとそれもない。

 デメリットは裏側に仕込まれるリンクが長くなるので、コストがかさんだり、組付けに手間がかかったりすること。精度というほどはシビアではないが、止まるときは左右ワイパーがチャンと折り重なるようにしてやらないといけないのだ。

 海外では1960年代頃のアルファロメオが非常に好んでいて、ジュニアやジュリアなど多くのモデルで採用していたものの、さすがイタ車、ガタが出てアームの動きがブレ、アーム同士がぶつかるという、本当のケンカワイパーになるという笑えないこともあったりした。

■ケンカワイパーが廃れたのは技術革新!? 先進装備のセンサーが作動しないのが要因

そもそもパラレル式で不満はまったくないうえに、最近ではセンサーやカメラなどがフロントガラスの上部に付いていることが多く、この部分にアームが届きにくい合掌型は次第に姿を消していった(lcswart@AdobeStock)
そもそもパラレル式で不満はまったくないうえに、最近ではセンサーやカメラなどがフロントガラスの上部に付いていることが多く、この部分にアームが届きにくい合掌型は次第に姿を消していった(lcswart@AdobeStock)

 話しは戻って、そもそもよく考えたら、パラレル式で不満はまったくないわけで、それでいいというのも大きな理由。運転席前については合掌型と同じようにアームが縦に来るので、良好な視界も得られるのでなおさらだ。

 そして、昨今の大きな理由が、安全装備に関するデメリットだ。

 センサーやカメラなどはフロントガラスの上部に付いているのが通例で、ここは合掌型だと三角形に拭き残りが出る部分。極端なことを言うと、ここだけ拭くことができないのが合掌型だ。そうなると、とくにカメラの場合、水滴が付いている機能が落ちるだけになおさら採用しにくくなる。

 結局はワイパーは雨の日にしか使わないし、雨粒などが付いたらきれいに拭き取るという機能が発揮されればいいわけで、それ以上のことは必要とされない時代になったと言っていいだろう。

 とくに昔のようにボンネットの後端にいかにも生えてます的に付いていた時代から一転して、普段はほとんど見えないようになっているからなおさら。あえて動きも大きなものにしなくていいという判断もあるのだろう。

 デザイン的な潮流は時代とともに変化するので、またいつか、オーバーに左右にビュッと開くように動く、合掌型のワイパーの時代がくるかもしれない。

【画像ギャラリー】消えていったあのワイパーに合掌……かつて合掌型ワイパーを採用していたクルマたち(6枚)画像ギャラリー

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