■クルマの大変革、それに挑んでいたのが平成カー(清水草一)
第1のポイントは、「この頃のクルマはまだ軽かった」ってことか。
2代目キューブ(日産)が1060kgから、3代目デミオ(マツダ)は970kgから。アコードユーロR(ホンダ)は1330kgでちょっと重いけど、今のアコードは1560kg。だいたい今より100kgくらい軽かった感じでしょうか。
第2に、サイズがコンパクトだった。この頃はまだ5ナンバー枠に収まるクルマが今より多かったよね。
歳月とともにクルマのサイズは拡大の一途をたどっているので、当たり前のことなのですが。
●洗練されていないデザイン
第3に、デザインが素朴だった。
これは先述した3台というよりも、「平成レトロカー」として今人気になっているようなクルマに特に言えることだけど、今と比べるとデザインが洗練されてなくて、バカ正直だったんだよね。昔の漫才みたいな。
昔のお笑いを見ると、「こんなことで笑ってたんだ~」って思うでしょ。それと同じで、どことなくダサいんだけど、それがハートウォーミングなの。
●革命を目指していた!!
そして一番重要なことは、この当時はまだ、クルマの在り方そのものの革命を目指した例が存在したということだろう。
エディックス(ホンダ)やエレメント(ホンダ)、初代インサイト(ホンダ)、iQ(トヨタ)みたいな。まだクルマには大変革の余地がある、その可能性を探ろう! という試みが行われていたんだね。
今のクルマのデザインはとっても洗練されたけど、そういう試みはあまり見られなくなった。ちょっと寂しい。
■悪い意味も含め、昔のクルマはコクがあった(斎藤 聡)
1980年代後半から1990年代半ばにかけては、バブル景気のおかげでたくさんのスポーツカーやハイパフォーマンスカー、高級車が作られた栄華の時代でした。
1998年から2008年は、巷ではバブルが弾け、崩壊に向かって突き進んでいるさなかでした。
自動車業界は栄華が大きかった分、大きな慣性エネルギーが残っていて、バブルに登場したクルマが、あるいは進化し、あるいは次世代モデルを強引に産み落とした時代だったと思います。
●エンジニアの意地が……!
そして、エンジニアの意地とか、メーカーの個性が残っていた時代だったと思います。モノづくりの狭間に浪花節が見え隠れしていたいい時代だったとも言えます。
もちろん今のクルマやエンジニアに熱とかエネルギーがないなんてことはありませんが、排ガス規制やカーボンニュートラル問題など昔以上に高いハードルを突きつけられ、非効率なことがなかなか許されない時代になっているとは思います。
悪い意味も含め昔のクルマはコクがあり、現代のクルマは癖がなくなったと言えるかもしれません。
●今のクルマ、刺激が薄め
ちなみに横滑り防止装置。
ABSを乗用車用としてメルセデルベンツとボッシュが共同開発した1978年以降普及し、平成レトロカーの時代にはほとんどの車種に付いていましたが、横滑り防止装置(ESP)の本格普及は2012年頃から。
各種センサーと電子制御を駆使して、安全性、安定性を高めています。
が、それと引き換えに、今のクルマにはスリリングな刺激が薄められているように思います。
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