■ミニキャブ・ミーブ再販売モデルはどんなクルマ? どんなモデル?
さて、今回再販売されたミニキャブ・ミーブはどのようなクルマなのか?
搭載される駆動用バッテリーはリチウムイオン電池で、総電力量が16kWh、一充電あたりの航続距離はWLTCモードで133㎞(JC08モードは150km)、モーターの出力は41ps/196Nm(20.0kgm)となっている。
駆動用バッテリーの電力をより有効に使うため、回生ブレーキ機能によって減速時にはモーターが発電機として働き、回収した電気を駆動用バッテリーに戻して充電。
電力消費を抑える「ECO」、通常の「D」、回生ブレーキの効きを強めた「B」と3つのドライブモードを設定しており、運転状況によって任意で選択することが可能となっている。
充電時間の目安は、AC200V/15Aの普通充電の場合、約7時間で満充電となり、急速充電は約35分で80%の充電が可能(急速充電器の最大出力電流が60A以上の場合)。
今回、再販売にあたり、どこが進化したのか? 再販モデルはモーターやバッテリーなどパワートレイン系およびエクステリア&インテリアに大きな変更はないが、安全性と機能を強化しているのがポイント。
改良ポイントは3つ。まず1つはASC(アクティブスタビリティコントロール)を追加したこと。ASCはブレーキとモーターを制御することで姿勢の乱れを制御し、クルマの安定性を確保。また滑りやすい路面で発進する際、車輪のスリップを防いで発進加速をサポートする。
次に、暗くなると自動的にヘッドライトが自動的に点灯するオートライトコントロールを装備。3つ目は荷室のユーテリティナットを左右5カ所計10カ所設定。これによってフックやレールの装着が容易になり、積載の業種によって大容量荷室のカスタマイズが可能になるという。
EVというと、床下にバッテリーが配置されるため、荷室容量が犠牲になっているのでは思ってしまうが、ミニキャブ・ミーブは航続距離と荷室容量のバランスを考えて荷室容量の減少を最小限に抑えており、ガソリン車の軽バンと同等の大容量荷室を確保。
最大積載量を見ると、たしかにミニキャブ・ミーブの2名乗車時最大積載量は350kgとエブリイバン(2名乗車時)、ハイゼットカーゴ(2名乗車時)と変わらない。ミニキャブ・ミーブの荷室は、ビールケースは36ケース、パンケースは72ケース、段ボール箱(大)が14個積めるという。
価格は従来モデルからの価格が据え置きで、ハイルーフ2シーターが243万1000円、ハイルーフ4シーターが245万3000円。CEV補助金は現時点では確定していないが、従来モデルは41万円(編集部調べ)。
ボディカラーは4シーターがホワイトとシルバーメタリック、2シーターがホワイト一色。月販目標台数は400台を想定している。
■一充電あたりのWLTCモード133㎞は短い? eKクロスEVのパワートレインをなぜ積まなかったのか?
ミニキャブ・ミーブの一充電あたりのWLTCモード航続距離、133㎞(JC08モード燃費は150㎞)という数値。
一方、最新軽EV、日産サクラ&三菱ekクロスEVは、47kW(64ps)/195Nm(19.9kgm)を発生するモーターを備え、リチウムイオン電池の総電力量は20kWh、一充電あたりのWLTCモード航続距離は180kmと、ミニキャブ・ミーブはeKクロスに比べて67㎞後続距離が短い。
ekクロスEVのパワートレインを搭載すればいいのに……と思う人もいるだろう。さっそく、ekクロスEVのパワートレインをなぜ積まなかったのか、三菱自動車工業・国内営業本部・軽EV推進室の五島賢司氏にぶつけてみた。
「ekクロスEVは日産と共同開発したクルマです。一方、ミニキャブ・ミーブが弊社の独自開発となります。プラットフォームがまるで違いますので移植することが難しかったというのが正直なところです」。
また、将来的に、ekクロスEVのパワートレインを搭載したミニキャブ・ミーブは出るのかという問いに対し、三菱自動車工業・商品戦略本部藤井康輔チーフ・プロダクト・スペシャリスト(CPS)は、
「もちろん、商品強化を測るうえでさまざまな角度から検討しています。リチウムイオン電池のアップデートを含め、検討はしています」と、いつになるかわからないが、近い将来、ekクロスEVのパワートレインが未来の商用EVに搭載される可能性はあることを示唆した。
133㎞という一充電あたりのWLTCモード航続距離についても航続距離が短かすぎる気もするが、実際のところはどうなのだろうか?
三菱自動車の調査では軽自動車およびコンパクトカーのユーザーの約8割は、1日の走行距離は50km以下としており、その大半のユーザーは2日以上充電せずに走行できることを想定しているという。
また同社の軽キャブバンの全国ドライバーアンケート調査でも、「1日の総走行距離は77%が65km以下」という結果が出ているので、133㎞という一充電あたりの走行距離は問題ないと考えているようだ。
実際、物流会社における軽商用バンの配達は「ラストワンマイル(最後の1マイルという距離的な意味ではなく顧客にモノ・サービスが到達する物流の最後の配送区間)と言われており、1日の走行距離の目安が付けやすく、例えば100kmで足りるなら、それに必要なだけのバッテリー容量を計算すればいい。そうしたことから、急速充電をほぼ使わずに、夜間に8時間充電すれば問題ないといわれている。
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