■マツダFD3S型RX-7 (1991年10月発売、1998年モデル価格324万〜422万円)
FD3S型RX-7も、海外で人気の高いクルマだ。今年の7月23日には、1993年式の左ハンドルMT、カリフォルニア登録の走行わずか5400マイル、9000キロ弱の無事故車、ブリリアントブラック外装、タン革内装の超美車がなんと10万5千ドル、当時のレートで約1433万円で落札された。
8月末には走行3万キロ台のヴィンテージレッド外装色のツーリングのMTが2台オークションに出され、8万ドル台後半と9万ドル、1200万円前後相当で落札されている。
直近では、10月25日に右ハンドルMTの1997年式走行2万キロ、シルバーストーンメタリック外装、2018年にカナダへ輸出されたかなりオリジナルコンディションに近いType-RSが、4万2千ドル、約626万円相当で落札された。走行距離の割にはやや荒れている個体だ。
今日本にある中古車でこれに近いものでは、1998年式のType-RBバサーストMTのホワイト、エンジンオーバーホール済みの走行7.8万キロのものが450万円で売られている。筆者ならこちらを選ぶ。
ショップに電話して、最近の動向を伺ってみたが、「コロナになった数ヵ月後に値段が急激に上昇してから、ほぼ高値で安定しています。円安やインバウンドの影響に関しては、外国人からの問い合わせが増えてきているというのはありますが、まだ値段には表れてきていないのではないでしょうか」との答えだった。
「在日米軍の兵士は、帰国時にひとり1台、クルマを軍の費用負担で持ち帰ることができるんですが、GT-Rほどには暴騰していないRX-7には、円安のせいもあって彼らからの問い合わせが増えています」とも教えてくれた。大黒PAでよく彼らがクルマを見ているのは、もしかしたらそんな理由もあるのかもしれない。
■日産フィガロ(1991年発売、発売当時の価格187万円)
やや変わったところだが、日本よりも海外で流通しているタマ数が多いかもしれない、海外で人気のクルマをもう一つ。
日産フィガロは「バックトゥザフューチャー」をコンセプトにデザインされ、1989年の東京モーターショーでお披露目、1991年に発売開始になったマーチベースの2ドアオープン、いわゆる「パイクカー」。当初8000台限定発売予定だったが、前評判の良さから2万台に生産量が増やされ、抽選販売となり、イギリスでもカルト的人気を誇ったクルマ。
現在の日本の中古車市場では、およそ25台が売りに出ている。
1991年式で走行6.5万キロ、修復歴なしの一番人気のエメラルドの外装色で、東京ヌーベルバーグプレート付き、このクルマのアイキャッチポイントである、オーナメント、ヘッドライトやサイドミラーなどのメッキ部分のくすみもあまりなく、シートのやれも目立たず、純正のフロアマットもきれいなままで、幌も完動、ショックアブソーバーとスプリングは交換済みといういわゆる「ビカモノ」な一台が341万円オファー。
これとは別に筆者が気になったのは、栃木で売られている内外装レストア済みの走行9.6万キロの非常に綺麗な個体、エメラルドで250万円というもの。走行距離をあまり気にせずコンディション重視の海外の人向けには、値段的にこちらの方がいいかもしれない。
アメリカのオークションサイトの一つを見てみると、今年4月から現在までで10台のフィガロが落札されており、平均値は22640ドル、走行は11万6千キロ。最高値は10月下旬に31000ドルで落札されたばかりの、走行7万キロの外装色ラビスグレーの個体。平成17年(2005年)9月表示の日本の点検整備済ステッカーが貼られ、翌2006年にイギリスで登録され、毎回乗車するたびに記録をつける自動車マニアが保有しメンテナンスも含め履歴がバッチリ残っている個体が2017年にアメリカに売られ、再び売りに出たもの。超きれいで間違いなさそうな個体だ。
アメリカでの極上フィガロが31000ドル、460万円強だとすると、日本の「ビカモノ」フィガロが341万円、その差120万円超というのはバーゲンに見える。
専門店の方に伺ったら、値段はある程度すでに上昇してしまったこともあってここ数ヵ月で動いていないものの、明らかに海外からの問い合わせが増えているそうだ。だがGT-R同様、自社で目の届くお客さんに売りたい、と強くおっしゃっていた。
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