なぜハリアーに続かない!? ドラレコ「後付け」主流の現状と今後の動向

■ADASのカメラを活用する方式が主力

 では輸入車はどうなのか、と言えば、当時としては国産車より進んでいた。BMWはADAS(先進安全支援システム)用のカメラを活用した「BMWドライブレコーダー」という機能を「サブスクリプション」で行うなどアプローチとしては斬新であった。

 またカメラやセンサーの塊(かたまり)と言えば思い浮かぶのがテスラだ。こちらも搭載するカメラを活用した「ダッシュカム・セントリーモード」をグローバルで展開。

 そして最近話題となっているヒョンデ・アイオニック5には「ビルトインドラレコ」と呼ばれる機能を搭載、工場装着の車両で「ドラレコ」という表記は国内では初めてのはずだ。各社それぞれ微妙にアプローチは異なるが、その点も輸入車の方が一歩先を行っていた印象は否めない。

■遂に来た! 新型クラウンにドラレコが初採用!

2022年7月に発表された新型トヨタ クラウン。ついに「ドライブレコーダー」という名称でオプション設定した
2022年7月に発表された新型トヨタ クラウン。ついに「ドライブレコーダー」という名称でオプション設定した

 そして市販ドラレコにおける日々の進化、輸入車勢の先進性にやや「守りに入っていた」感のある国産車も遂に重い腰を上げる時が来た! それが7月15日に発表された16代目となるトヨタ 新型クラウンだ。

 最新モデルらしく、ADAS領域は同社が誇る「トヨタチームメイト」や「トヨタセーフティセンス」をさらに進化させたもの。これだけでも従来より大幅に安全性能を向上させているが、ついにトヨタもこのタイミングで「ドライブレコーダー」という名称で工場装着(ラインオプション)を設定した。

 ADASのカメラを活用するという考えは他社と基本的な概念は同じだが、クラウンの場合はフロントはADASカメラ、リアはデジタルインナーミラー用カメラを活用する。冒頭に述べたように市販ドラレコが売れる理由のひとつに「日々スペックが向上する」点が大きい。

 一方メーカーの工場装着の場合、カメラの基本的スペックは装着した段階で固定され、たとえOTAを活用しても画質の向上はチューニング程度、根本の解決にはならない。

 また自動車メーカーがこれまでドラレコ(名称も含め)を設定してこなかった理由のひとつに「肖像権」の問題もある。これは語り始めるとページが膨れ上がってしまうので割愛するが、昨今のネット時代を鑑みると二の足を踏むのも理解できる。

 しかし、クラウンの場合は前述したようにカメラ性能を含めた物体認識能力や車両の制御能力も格段に向上しているとのこと。

 気になるカメラの解像度も前後フルHD化(1920×1080ピクセル)されており、現在の水準としても十分通用する。きっかけを作ってくれたハリアーとは正直比較するのはしんどい位なのである。

■完璧ではないが、新しい試みもあり

 この新型クラウンのドライブレコーダー、当然のことながら「トヨタ車初」となる。

 常時録画は最大約100分で本体内蔵のメモリーに記憶され、満杯になると、いわゆる「上書き記録」をくり返す。

 また一定以上の衝撃が加わった場合、前後10秒ずつ合計20秒の映像が別途用意された専用フォルダに記録される。車載Wi-Fiの活用や専用スマホアプリによる映像確認機能など、この辺は市販ドラレコと変わらない。

 残念なのは前述したトレンドのひとつである「駐車監視機能」が衝撃が加わった時に初めて録画を開始する仕様になっていること。市販のドラレコの同機能はモデルにもよるが、衝撃を検知する前も録画できるのでその部分はOTAなどによるアップデートに期待したい。

 また安全面を考慮して、音声操作による録画に対応した点は大きな訴求ポイントだろう。利用シーンは様々あるが、社会問題となっている「あおり運転」を受けた際など、ステアリンから手を離すことなくマニュアル録画が行えるメリットは大きい。

次ページは : ■なんとヤリスクロスにも設定を開始、トヨタの本気が伺える

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