急増中!! でも他メーカー車を売って儲かるの…? OEM販売の本音と実情

販売店はOEMで得するのか損するのか

 OEMでは、ディーラーが受ける経済的なメリットやデメリットについても考えていかなければならない。

 OEM車は、開発元メーカーが販売をスタートしてから、一定期間経過後に他メーカーで販売がスタートする。REXも、ロッキーやライズの登場(2019年11月)から約3年経過後の登場だ。

 既に、ダイハツ・トヨタは開発費回収を済ませており、製造元のダイハツ側からスバルがREXを買い受ける際の購入費に、開発費が上乗せされている可能性は低い。ダイハツは純粋に、製造して売り渡すときの利益だけを上乗せし、スバルがREXの仕入れ時にその利益分を支払っているだけだ。

 こうして仕入れたREXを、全国のスバルディーラーはスバルから仕入れる。このとき、ダイハツから購入した価格に、スバルの利益を乗せてディーラーへ販売するわけだが、メーカーの連結子会社となるディーラーが多いスバルでは、それほど大きな利益は乗せないだろう。ディーラー販売時の利益は、スバルが開発・生産したクルマとほとんど変わらないはずである。

 自社ラインナップの穴を埋めるのがOEMの存在。特に、今回のような大人気車であるロッキー・ライズのOEMを手に入れたことは、スバルディーラーにとって、販売拡大への大きな足掛かりとなる。

 多少薄利にはなるが、その分を販売台数でカバーすれば、大きな利益は出る。OEMでも売れば売っただけ儲かるから、メーカー・ディーラーともに大きな損はない。

(編注:販売店にとっては、OEM車だからといってメーカーからの仕入れ価格が高くなるということはなく、自社銘柄車と同等程度の利幅になるという(もちろん利益に関しては、開発元メーカーとの違いはケースバイケースではあるが)。また、販売台数のボリュームは、販売会社とメーカーの年間契約によって、変更される場合もある)

営業マンはOEMにより拡大する販路を上手く使え!  

ダイハツからOEM提供されているトヨタルーミー。10月登録台数は8144台だった。以前に比べ、販売現場でのOEM車の印象は良くなっているとのことだ
ダイハツからOEM提供されているトヨタルーミー。10月登録台数は8144台だった。以前に比べ、販売現場でのOEM車の印象は良くなっているとのことだ

 自動車販売現場では一時期、OEMであることを隠しながら販売を行う営業マンが多かったように思う。OEMに対するイメージが悪く、他社で作ったもののバッヂを変えただけのクルマと思われていたからだ。

 しかし、現在は他社製造であることを隠す営業マンは減っている。例えばトヨタディーラーへ行くと、ルーミーについて、こんな声が聞こえてきた。

「ルーミーは、ダイハツさんで作っていただいている良いクルマです。こうした良いクルマを、トヨタを長く使っていただいている○○様に紹介できるのは、営業マンとしても嬉しい限りです。」

 営業マンがOEMに対して充分な理解を深め、自社製品以上に勉強している証であろう。OEMや共同開発車を上手く使っていけば、ディーラーの販路拡大につながることを理解している。

 既にユーザーの取り合いになっている日本の自動車市場。上限の決まったユーザーを出来るだけ多く自社に振り向かせるためには、人気車のOEMほどいい材料はない。OEM車は、利益と客層の広がりをディーラーにもたらすのだ。

 近年の人気モデルを上手く使った各社のOEM戦略は、利点が非常に多い。OEMでディーラーも儲かり、営業マンは販売台数を伸ばす。コロナで販売に苦戦するディーラーにとって、OEM車は救世主になるかもしれない。

【画像ギャラリー】OEM車で30年ぶりに復活したスバル「レックス」をチェックする(10枚)画像ギャラリー

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