■「レガシィに追いつけ」のカルディナも忘れがたい
1989年1月に登場したレガシィは、スポーツワゴンブームの火付け役となったミドルクラスのファミリーカーである。
5ナンバー最強、4気筒エンジンの最高峰を目指し、フラッグシップのツーリングワゴンGTはEJ20型水平対向4気筒DOHC4バルブにターボを組み合わせた。駆動方式はフルタイム4WDが主役だ。
スポーツモデルを相手にしない冴えた走りを見せ、瞬く間に日本を代表するワゴンにのしあがっている。このレガシィを追ってトヨタが送り込んだ快速ワゴンがカルディナだ。
ワイドバリエーションを誇り、FF車とフルタイム4WDを設定した。高い実用性と快適性が認められ、一気にレガシィの対抗馬になる。
途中でスポーツツインカムを加え、1997年に登場した2代目ではセリカGT-FOURから2Lの3S-GTE型DOHCターボを譲り受けた。
王者レガシィも2代目はビルシュタイン製のショックアブソーバーなどで武装し、自慢の走りに磨きをかけている。
打倒レガシィに燃えるカルディナは、3代目では思い切りスポーツ路線に振り、新世代プラットフォームを採用するとともに走りをニュルブルクリンクで鍛え上げてきた。
レガシィの牙城は切り崩せなかったが、レガシィというライバルがいたことがカルディナを成長させ、走りの実力を大きく引き上げている。
■「キング・オブ・ミニバン」を抜き去ったアルファード
1BOXのキャラバンとホーミーを祖とするフルサイズのミニバンがエルグランドで、1997年5月に登場した。最大の特徴は広々としたキャビンスペースだ。3列目でも快適である。
また、上質な3.3LのV型6気筒と3.2Lの新世代ディーゼルターボを積んでいることもチャームポイントだった。余裕あふれる動力性能のエンジンを積み、サルーンのように優雅な走りを披露する。
しかも、その気になれば驚くほどの俊足だ。
トヨタは、ひと足先にグランビアを最上級ミニバンとして発売していた。こちらも3ナンバーの3Lと2.7Lエンジンを積んでいる。
だが、3Lはディーゼルターボだったし、2.7Lは4気筒エンジンだった。快適性は高く、装備も充実していたが、エルグランドが発売されると販売台数は大きく落ち込んでいる。
打倒エルグランドに燃えるトヨタは、ライバルを徹底的に分析・研究した。そしてトヨタ車体と共同で新世代のミニバンの開発に着手したのである。
2002年5月21日、日産は満を持してエルグランドのモデルチェンジを行った。2代目はキープコンセプトのデザインだったが、スポーティなルックスとしている。
エンジンは3.5LのV型6気筒だけの設定だ。駆動方式は後輪駆動を基本に、アテーサE-TSを進化させたオールモード4×4と呼ぶ4WDがある。
ロングスライドシートを採用し、3列目でもキャビンは広く快適だった。
その翌日の22日、トヨタはグランビアの後継となるアルファードを発表している。メッキを多用したエクステリアは、風格を感じさせるデザインだ。押しの強いフロントマスクが目を引いた。
また、インテリアも豪華さを前面に押し出している。エンジンはハイメカツインカムで、3LのV型6気筒に加え、2.4Lの直列4気筒を設定した。
4気筒エンジン搭載車はコスパが高く、買い得だ。FFベースだからキャビンも広く、快適である。
アルファードは発売されるや好調に売れ行きを伸ばした。エルグランドはクラストップの座から追い落とされたが、VIP仕様や改良型のハイウェイスターを投入して対抗している。
また、2.5LのV型6気筒エンジン搭載車も送り込んだ。この熾烈な販売合戦は3代目まで続いた。
しのぎを削って競い合った両車は、その結果、世界に誇るラグジュアリーなフルサイズミニバンへと成長を遂げている。
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