■燃費規制は超痛手……切り札のソルテラも鳴かず飛ばずに
しかし、すでにCAFÉ(企業別平均燃費基準)というクリアしないと経営に大きく関わる課題が始まっている。
CAFÉは欧州と日本で本格的に始まっており、CAFÉの基準は日本がJC08モード燃費20.3km/L、欧州24.8km/L&1kmあたりのCO2排出量95gと、現行スバル車でクリアしているモデルは1台もないほど厳しい。
こちらは企業別平均なので、クリアし余裕があればトヨタのGRブランドのように燃費では芳しくないスポーツモデルも造れるという意味では公平なものでもある。
しかし、クリアできないと欧州だと1kmあたりのCO2排出1g超過につき95ユーロ(約1万4300円)の罰則金が課せられる。罰則金は当然メーカー、ユーザーいずれかの負担となり、価格に転嫁されるか利益の減少となるだけにクリアできない痛手は大きい。
スバルにとって欧州市場は大きくない市場なので、残念だけど最悪撤退するという選択肢も考えられる。また、日本もクリアできなくとも、現状はスポーツモデルのような燃費が芳しくないモデルが出しにくくなるといった程度となるため、今のところ不利益はそれほど大きくない可能性も。
しかし、アメリカもトランプ政権からバイデン政権への移行で、2025年に販売される2026年モデルのCAFÉは20.7km/Lと一気に厳しくなり、罰則金が欧州のように高額だと北米をメインマーケットとするスバルにとっては深刻だ。いずれにしてもスバルにとっても燃費の向上、電動化は急務である。
その切り札と期待されていたのが、トヨタbZ4Xとの共同開発車となるSUVの電気自動車であるソルテラだった。だが、ソルテラは日産 アリアやヒュンデ アイオニック5といったライバル車に対し強い武器に欠けるのに加え、発売直後にあったリコールによるつまずきもあり、販売は日本、アメリカともに伸び悩んでる状態である。
要するにスバルにとって重要だったソルテラによるCAFÉ対応は、アテが外れてしまったというのが現状だ。
■インプレッサEVから本格展開か!? トヨタ製ハイブリッドで巻き返しを
スバルにとっての打開策も他社同様ハイブリッドと電気自動車という電動化だ。
スバルが発行する統合レポート2022には、スバルは2020年代中盤以降(2025年か2026年か?)、日本国内の工場の生産でトヨタのTHSを使った次世代e-BOXERを投入し、ガソリン車との混流生産で自社製電気自動車を生産開始すると記載されている。
具体的に予想すると、次世代e-BOXERはそれなりに大きなモーターを組み込むことを想定していると考える。現行スバルの2リッターと2.4リッターとなるFA&FB型エンジンに対し格段に短いCB型エンジン(現状はレヴォーグなどに搭載される1.8リッターターボ)を適正な排気量にして使うはずだ。
また、北米仕様の旧クロストレックにはTHSを使ったPHEVもあるだけに、その展開も十分考えられる。
電気自動車は現在スバルのほとんどが使うSGP(スバルグローバルプラットホーム)が電気自動車化も想定されているだけに、「インプレッサの電気自動車版」といった置き換えからはじまり、電気自動車専用車の登場もあるかもしれない。
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