助手席のヘッドレストに手を置き、バックミラーを使わずにリアウィンドウ越しに後方確認をしつつバックする……。「片手運転」という観点から見るとよくない行為だが、たまに見かけるこんな「運転グセ」。教習所で習った覚えはないけど、クルマの運転に慣れるに従ってドライバーには多くの運転グセがつくようになる。
そんな「運転グセ」のなかでも、「実は危険」、「実は違反」というものがある。そこで今回はそんな運転グセについて検証してみよう。
文/今坂純也(DIRT SKIP)、写真/写真AC
高速道路で追い越し車線をずっと走る
高速道路における「追い越し車線」とは、2車線以上ある道路において、一番右端の車線を言い、原則として前車を追い越す場合のみ走行することができる車線。
高速道路の追い越し車線を制限速度近辺で走行し続けるクルマを時折見かけるが、道路交通法第20条では、クルマは「車両通行帯の設けられた道路においては、道路の左側端から数えて一番目の車両通行帯を通行しなければならない」と定められている。そもそも追い越し車線は「追い越しに使う車線」で、「走行に使う車線=走行車線」ではない。無意識に、もしくは「空いているから」という理由で意図的に走っているドライバーもいるようだが……。
追い越し車線を走行し続けた車両は、もちろん通行帯違反となるので、「追い越しが終わったら速やかに走行車線に戻る」ことを徹底したい。「2kmまでなら走り続けて大丈夫らしい」などの声も聞くが、「どれくらいならOKなのか」より「速やかに走行車線に戻る」を考えるのが賢明だろう。
また、このように追い越し車線を走り続けるクルマは、「妨害運転(あおり運転)を誘発するおそれのある行為」として、神奈川県警などでは「積極的に指導取締りを行う」と明言している。
左折時にいったん逆側にハンドルを切ってから曲がる
この、曲がる方向とは別の方向にふくらむ行為は「あおりハンドル」と言われており、実際ヒヤッとした経験のあるドライバーは多いだろう。あおりハンドルを行う理由は、「運転に慣れていない」がほとんどのようだが、なかには「かっこいいから(?)」と意味不明なものもある。このあおりハンドルを行うと、追い越しをしようとする後方のクルマ、直進する対向車が接触する可能性がある。道路の左端を走る後続の自転車などは「左折すると思ったけど、右折?」とあらぬ勘違いをして直進し、巻き込み事故に至るケースもある。
トラックやトレーラーなどの内輪差(前輪と後輪が描く軌道の差)の大きなクルマでは内輪差を考え、狭い場所に限って、曲がる方向とは別の方向に少し膨らんでから曲がる可能性はある。しかし、軽自動車や普通乗用車であれば、たとえ「大きなクルマ」であってもあおりハンドルなど行わずに曲がることは普通に可能だ。
自信のない人は、道路交通法第53条や道路交通法施行令第21条に定められているように進路を変更するときの決まり事を行なうこと、つまり「右左折する地点から30m手前でウインカーを出す」ことを確実に守る運転を行ってほしい。
ちなみに、左にウインカーを出して左折の意思を他車に示しても、右へあおりハンドルをした時点でウインカーは解除され、合図なしのまま今度は左へ曲がっていくことになる。この状態で事故を起こすと、たとえ後方から追突されたとしても「合図なし」とみなされて過失割合は9割にもなる場合が!
コメント
コメントの使い方