多くのクルマに装備されているリアワイパー。ところがその流れに逆らうクルマが現れた。それが5代目プリウス。先代まではリアワイパーが標準装備だったのに、新型はそれを廃止したのだ。なぜプリウスはリアワイパーをなくしたのか? そもそもリアワイパーは必要なのか? 考えてみよう。
文/吉川賢一、 写真/トヨタ、ベストカーWeb編集部、Adobestock
■リアワイパー廃止は燃費改善が狙い
視界確保のための装備であるワイパー。雨や雪が降った際にウインドウの水滴を取り除くことのほか、泥跳ねなどの汚れが付着した際にも汚れを拭い、視界を確保することができる装備だ。
とはいえセダンタイプの場合は、リアガラスの傾斜が強いことで雨の日も水滴による影響が少なく、また車両後端からの汚れの巻き上げが少ないこともあり、リアワイパーを装着しない例も多い(スバルは、「いかなる環境でも、常に後方視界を保てるように」という企業方針から、セダンであってもリアワイパーを装備している)。
ただ、ハッチバックタイプやミニバン、SUVでは、リアウィンドウが車両後端にあることが多く、角度も垂直に近いため、雨粒やタイヤが跳ね上げた汚れがリアガラスに付着しやすい。
そのため、リアワイパーは必須装備だったのだが、冒頭で触れた新型プリウスのほか、レクサスRXやRZ、クラウンクロスオーバーやクラウンスポーツ(プロトタイプ)なども、リアワイパーを装着していない。先代プリウスPHVもリアワイパーは装着していなかった。
新型プリウスは、車両カテゴリ的には「ハッチバックセダン」であり、先代プリウスとリアガラスの傾斜はほぼ同等だ。廃止できた背景には、リアデザインの改善や、そもそもあまり使われていなかった、といったこともあるだろうが、主たる目的は、燃費改善だ。
■空力的な観点を優先して判断しているはず
燃費改善のためには、効率のいいパワートレインや転がり抵抗の低い低燃費タイヤを採用したり、駆動系の抵抗を減らすといった対策ももちろん重要なのだが、空気抵抗を減らすことも非常に重要だ。
リアワイパーは、空気の流れをせき止めるように設置されていることが多く、気流に乱れを生じさせてしまい、空気抵抗となってしまう。
以前、某自動車メーカーの空力エンジニアへ取材した際も、「ルーフ高やリアエンド高を数ミリ変えることですら、Cd値に大きく影響を及ぼすほど、非常に繊細な設計をしているのに、リアワイパーが付いているだけで、せっかくの機能的デザインが無駄になってしまう。後方視界が確保できるのであれば、できれば外したいアイテムの筆頭だ」と話していた。
前述したように、新型プリウスのリアガラスの傾斜は、先代とほぼ同等。新型でリアワイパーを外すことについては、おそらく課題も残っていたであろうが、空力的な観点を優先して(ついでにデザインの改善とコストダウンができた)、リアワイパーの廃止を判断したのだろう。
コメント
コメントの使い方デジタルインナーミラーだからこそワイパー必要なんだけど
水滴飛ばさないと滲んで見えない
私は結構リヤワイパーを使うので、付いていない車種は購入の候補から外れますね。
オプションで付けられるなら良いんですが。
ワイパーの有無ぐらいでそこまで燃費に影響するだろうか?
レーシングカーみたいにスピードを出すわけでもあるまいし