「マツダ2」(旧姓デミオ)の改名は成功だったか? やめときゃよかったか?

「マツダ2」(旧姓デミオ)の改名は成功だったか? やめときゃよかったか?

 マツダ「デミオ」が「マツダ2」へと名称変更されたのは、2019年7月のこと。およそ4年が経過し、マツダ2というネーミングも当初より浸透してきたように思うが、「マツダ2」への改名によって、当該モデルが飛躍的に(販売台数の面で)成長しているようにも思えない。マツダ2への改名は成功だったのか、それともやめとけばよかったのだろうか。

文:吉川賢一
写真:MAZDA

改名後の販売台数は減少傾向

 1996年に初代モデルが登場した、マツダのエントリーコンパクトカー「デミオ」。初代モデルは、登場から2年後となる1998年に年間10万台超(1998年)を販売。以降も2代目(2002年~)、3代目(2007年~)と、年間4~7万台を維持しながら、マツダの国内販売を支えてきた。

 4代目となる現行デミオ(現マツダ2)が登場したのは2014年9月。デビュー翌年は7万台を超えたものの、直近は、2018年が48,182台、2019年は26,657台、2020年は28,368台、2021年は23,831台、2022年は23,403台と下落基調となっており、2023年の1~3月も6,223台という状況。マツダ2へ改名された2019年以降について、当該モデルの販売台数には、改名の成果は現れていない(むしろ減っている)。

2019年7月のマイナーチェンジにて、約20年間続いた「デミオ」名から新名称「MAZDA2」への改名を発表した
2019年7月のマイナーチェンジにて、約20年間続いた「デミオ」名から新名称「MAZDA2」への改名を発表した

ただ、マツダ2よりも上級車の販売は好調に

 このように、マツダ2の動向だけをみれば、確かに、かつてほどの勢いはなくなってしまっている(コロナ禍による生産調整の影響も少なからずあるだろう)が、実はマツダ全体でみれば、少しずつではあるが、上級車(=利益が得やすい車種)の販売台数が増えている。

 マツダは、マツダ2へと改名した理由について、「マツダブランドを鮮明化すべく、MAZDA2(マツダ・ツー)」と車名変更する」と公表している。ハッチバックのアクセラも2019年5月にマツダ3へフルモデルチェンジし、ミドルサイズセダン&ワゴンのアテンザも2019年8月にマツダ6へと改名しているが、これは固有名詞を廃してブランド名と数字で車型を示すことで、ブランド全体の認知を広げる、という手法だ。ご承知のとおり、BMWやメルセデスなど、海外高級車ブランドも同じ手法をとっている。

 マツダは2010年代にはいったころからブランドイメージの大改装に取り組んでおり、「魂動」と呼ばれるマツダの新しいデザインテーマを盛り込み、小さいクルマから大きなクルマまで、統一された凝縮感のあるデザインを取り入れた。CX-5やアクセラ(現マツダ3)、CX-3など、いまのマツダを支える名車が多く登場しはじめたのは、このころからで、車名変更もその一環なのだろう。

 改名によって、マツダ2はマツダのエントリーモデルとしての役割がより一層強くなった。マツダ2の販売台数が減ってしまったとしても、そのぶん、CX-5やマツダ3といった上級車の販売が上向きになっているのならば、マツダ2は、より上級モデルへユーザーを分散させるというエントリーマツダカーとしての役割を、十分に果たしているのではないだろうか。かつての「デミオ一本」だったマツダの販売に比べたら、いまのほうがはるかに健全なブランド体質であり、デミオからマツダ2への改名は成功だったのではないか、と筆者は考える。

2014年に登場したマツダ2のインテリア。200万円程度のコンパクトカーとしては、信じられないほどの質感の高いインテリアだった
2014年に登場したマツダ2のインテリア。200万円程度のコンパクトカーとしては、信じられないほどの質感の高いインテリアだった

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