「期待薄車」だったのにバズってびっくり!? 売れちゃった…のはなぜ? 

「期待薄車」だったのにバズってびっくり!? 売れちゃった…のはなぜ? 

 世の中には売れるクルマと残念ながらそうでないクルマがある。もちろん売れるクルマにはちゃんとした理由があるのだが、なかには発売元のメーカーですら予想外のヒットとなったクルマも存在している。

 今回は、そんなメーカー&市場も予想外だったヒットモデルを紹介し、売れた理由を探っていきたい。はたして共通の理由はあるのだろうか?

文/長谷川 敦、写真/スズキ、スバル、トヨタ、Tesla, Inc.、ホンダ、日産、Favcars.com

いまでも売れてる予想外のヒット車たち

●日産 ノート

好評の秘密はドコにあった!? 予想外のヒットを飛ばしたクルマたち
日産 ノートe-POWER。e-POWER仕様の登場は2016年で、それまでも十分な販売台数を記録していた2代目ノートの売り上げ向上に大きく貢献している

 日産がコンパクトカーのマーチをベースに開発し、2005年に発売したモデルがノート。この初代モデルも好調な売れゆきを示したが、大ヒットと呼べる結果を残したのが2012年発売の2代目モデルだ。

 2代目ノートは最初に内燃(ガソリン)エンジン仕様が販売された。エンジンは先代からダウンサイズされて燃費性能を向上し、1.2リッター自然吸気モデルは23.4km/L(JC08モード)を記録。クルマの仕上がりの良さもあって発売直後から好調な売り上げを記録した。

 さらに2016年のマイナーチェンジでは新世代のハイブリッドモデル「e-POWER」がラインナップに追加された。

 従来のハイブリッドカーのように内燃エンジンと電動モーターの双方を動力に利用するのではなく、エンジンは発電のみに絞り、動力はすべて電動モーターが担当するというのがe-POWERだ。

 俗にいう新車効果が薄れたあたりでデビューしたe-POWERは、エコ重視の時代の後押しもあって大ヒット。日産内でのノートの地位を確固たるものとした。

 ノートが大ヒットした理由には、それまで販売されていたマーチやティーダなどのユーザー層を吸収できたこともあるが、何よりクルマの総合点が高かったことが考えられる。

 現在ノートは2020年発売の3代目切り替わっていて、3代目はe-POWERのみがラインナップされている。この3代目の販売も好調とのことで、ノートの快進撃はまだまだ続きそうだ。

●ホンダ N-BOX

好評の秘密はドコにあった!? 予想外のヒットを飛ばしたクルマたち
初代ホンダ N-BOX(2011年)。完全新規設計モデルだったが、販売開始直後からヒットモデルになり、現在でもN-BOXと派生モデルの人気は続いている

 現在のホンダの屋台骨を支えるセールスを誇るのが、軽自動車のN-BOXとその派生モデルたちだ。

 ホンダ初の軽スーパーハイトワゴンがN-BOXで、完全新規開発モデルとして2011年に初代が登場。かつてホンダのF1活動を担っていたメンバーが開発に参加したことでも話題になった。

 当時のホンダにはこのクラスのモデルが存在せず、人気を集めていたダイハツ タントやスズキ パレットの対抗馬になるべく開発されたのがN-BOXだった。

 ホンダとしては当然N-BOXを売れるモデルにするために開発したのだが、ライバルモデルに対して後発ということもあり、はたしてどこまで売れるのかには疑問の声もあった。

 だが、後発のメリットを生かして数多くの工夫が盛り込まれたN-BOXの完成度は極めて高く、これが市場に受け入れられて、デビューから5年で累計売上台数100万を突破する大ヒットモデルになった。

 2017年には初のモデルチェンジを迎えるが、初代の良さを残した改良も奏功し、前作を上回るセールスを記録している。

 現在、ホンダ全体の売り上げにおいてN-BOXをはじめとする軽自動車の割合は大きく、これにフィットなどのコンパクトカーを加えると実に全体の8割に及ぶという。

 そのためホンダのイメージが「軽&コンパクトカーのメーカー」となっているほど。これがホンダにとって良いことなのかは意見の分かれるところだ。

●スバル レヴォーグSTI

好評の秘密はドコにあった!? 予想外のヒットを飛ばしたクルマたち
2016年登場のスバル レヴォーグSTIスポーツ。STIのネームバリューもあって標準仕様よりも高価格なのにもかかわらずヒットモデルの仲間入りを果たした

 スバル レヴォーグは、スバルが自社のレガシィツーリングワゴンよりもコンパクトで扱いやすいステーションワゴンモデルとして2014年に販売を開始したクルマだ。

 このレヴォーグ自体も好調な売れゆきを見せたが、2016年に追加されたレヴォーグSTIスポーツが予想外の人気を集めた。

 レヴォーグをベースにエクステリア&インテリアを高級化し、足回りにもチューニングが施されたSTIスポーツは、標準モデルより40万円高額なのにもかかわらず大きく売り上げを伸ばしたという。

 ちなみにSTIとは「スバル・テクニカ・インターナショナル」の略で、スバルのモータースポーツやチューニングを行う組織を表している。

 そして2023年1月に開催された東京オートサロン会場で現行型レヴォーグのSTIバージョン・レヴォーグSTI Sport #(シャープ)が発表された。

 こちらは500台限定で、ベース車より100万円近く高い576万4000円の価格がつけられたが、驚くべきことに受注開始当日に完売してしまった。

 これにはさまざまな理由が考えられるが、STIブランドがスバルフリークにとってまだまだ高い訴求力を持っていることの証明かもしれない。

 新生レヴォーグSTI Sport #が十分に魅力的なクルマであることはいうまでもないが、この時代に高額なコンプリートカーが完売してしまうことは意外でもある。

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