10月の正式発表に先立って、内外装を公表したホンダ新型N-BOX。うーん……、イマイチ新型っぽい大変化がないぞ!! と感じた人も多いのかもしれないが、いやいやいや、ホンダの屋台骨を支える大ヒット車ですぞぉ~。ホンダとしては徹底的に力を込めた、まさに渾身のフルモデルチェンジ。見た目よりも「中身」の進化を見ていただきたいのでありました。
文/梅木智晴(ベストカー編集委員)・写真/平野学
でもさ、見た目だってグンと洗練度マシマシなんじゃない?
けっこうフロントマスクだって変化してますぞ。標準系とカスタム系があるのは従来通り。丸目が印象的な標準系はボディ同色でパンチングタイプのグリルを採用。これ、家電をイメージしたってことだけど、シンプルですっきりしていて好ましい「顔」。メッキパーツをまったく使っていないのもいい。
カスタム系も特徴的。LEDヘッドライトはシャープな表情を作り出し、ファニーフェイスの標準系との違いをアピールするものの、メッキギラギラのフロントグリルでグイグイ押し出してくるわけじゃあない。むしろグリルはブラックで存在感を消しながら、上段の横一線の発光部がポジションランプと一体化し、フロントマスクのワイド感を演出する。いいジャン、新型N-BOX。
とことん「おもてなし」の心を尽くした内装こそが大きな魅力なんです!!
今の時点では車体サイズや搭載エンジンなどの「数字」は公開されていないんだけど、軽自動車なんだから全長は3395㎜、全幅は1475㎜ってことで間違いなかろう。この「全幅1475㎜」が大きな制約となって、車室内の横幅はどうしても「これ以上は広くできない」ギリギリのセンでの勝負となるのが軽自動車の世界。当然、広さで勝負のN-BOXは先代型だって可能な限り室内寸法を稼ぎ出していた。
「リアシートのショルダースペースを55㎜拡大できたんです」。パッケージデザイン担当の飯泉麻衣氏は言う。55㎜ということは片側27.5㎜だ。削りに削った先代型からさらに3㎝弱を削り取る。
「内装パーツは簡単には薄くできないんです」と、インテリアデザイン担当の藤原名美氏。内装トリムの樹脂パーツは、ある程度の厚みがないと強度が出ない。ペラペラでは内装の質感にも悪影響だ。さらに、外板と内装トリムの間には電装系のハーネスが通っていたり、吸音材などが挿入されているため、ある程度の空間が必要なのだ。
「リアシート両サイドのトリム内は、もう、場所の取り合いなんです。なんとか電装のハーネスをうまいこと別の場所に取り回してもらって、側窓の深さまで凹ますことができたんです。削り取ったというか、絞り出した55㎜です」と藤原さん。実は前席ショルダースペースも5㎜広げることができたのだ。
後席関連では、スライドドアを開けて乗り込む際に手をかける部分の形状にもちょっとした工夫というか、気遣いがある。まあ、写真を見てください!!
乗り込むときに「ここを手でつかむよね」という箇所に、ちょうど指先、第一関節より先端部がかかる深さの窪みが付けられているのでありました。しかも、小さい子ども(身長100㎝前後)がつかむであろう高さには子供の指の長さを想定した浅めの窪み。大人がつかむであろう高い位置の窪みは深めの窪み。実際、触ってみると微妙な曲線を描いた内装トリムの窪みは確実に指先が引っ掛かる形状となっていて、高さによって窪みの深さが変化していることがわかるのだ。写真の女性、インテリアデザイン担当の藤原さんがつかんでいるのが「子どもの高さ」です。
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