他と違う道を歩め! 名車スバル サンバーはなぜ後にエンジンを積み続けたのか?

■細かな改良でユーザーからの信頼を獲得

1966年登場の2代目スバル サンバー(ニューサンバー)
1966年登場の2代目スバル サンバー(ニューサンバー)

 登場から5年後の1966年、2代目の「ニューサンバー」が登場する。そして1973年には3代目にバトンタッチした。2サイクル2気筒エンジンは空冷から水冷になり、快適性を大幅に高めている。このときに後ろヒンジだったユニークなドア構造が、一般的な前ヒンジ、後ろ開きに改められた。

 1977年には新規格の軽自動車枠にミートさせ、排気量とボディサイズを拡大している。パワーユニットは、EK型と呼ぶ544ccの水冷4サイクル2気筒SOHCだ。

 サンバー550は、1980年に業界で初めて軽トラックとバンにパートタイム式の4WDモデルを設定し、走りのポテンシャルを飛躍的に高めた。これ以降、軽商用車は仕事だけでなくレジャーにも使われるようになる。

 1982年に第4世代目にモデルチェンジした。RV人気が高まっているのを見据え、ワンボックスタイプのバンは「サンバートライ」を名乗っている。タフな走りが受け、販売を伸ばしている4WDモデルは、フロントサスペンションをストラット式に変更した。

 また、後期モデルではフルタイム4WDへと進化。軽商用車として初採用した前輪ディスクブレーキも話題となっている。さらにはハイルーフにサンルーフを設け、開放的なサンサンウインドーとした仕様も投入。そして上級クラスに送り出したドミンゴのベース車両にもなるなど、バリエーションを大きく広げた。

■自社製からダイハツのOEMへ

1990年登場の5代目スバル サンバー。軽自動車の新規格に合わせて排気量は660ccにアップ
1990年登場の5代目スバル サンバー。軽自動車の新規格に合わせて排気量は660ccにアップ

 これに続く5代目は1990年にベールを脱いだ。軽自動車が新規格に生まれ変わり、排気量は660ccに、全長も100mm長くなる。

 搭載されるエンジンは、贅沢な4気筒である。658ccのEN07型直列4気筒SOHCにはスーパーチャージャー仕様も設定した。トランスミッションは5速MTのほか、無段変速機のECVTも登場する。フルタイム4WDはビスカスカップリング式だ。

 この5代目は1993年にレトロ感覚のフロントマスクなどを採用したディアス・クラシックも生み出している。配送業務を主眼とする赤帽仕様も設定され、これは20万km以上を保証するタフなスペシャルエンジンを搭載したプロ仕様だ。

 6代目サンバーの登場は、再び軽自動車の規格が変わった1999年である。エンジンはEN07型直列4気筒を受け継いだ。

 スーパーチャージャー仕様は、低回転から力強いパワーとトルクを発生し、高速走行も余裕だった。ボディはひと回り大きくなり、2002年のマイナーチェンジでは安全性を向上させるために短い鼻を持つセミキャブスタイルになる。

 リアエンジンのサンバーは、これが最後となった。2011年にWR(=World Rally!)ブルーの特別限定車を発売し、2012年にはダイハツのOEMモデルにバトンをつないだ。

 タフなエンジンをリアに積み、多くのファンとプロのドライバーに愛され続けたスバルの名作、それが「サンバー」である。

【画像ギャラリー】スバル360の魂を受け継いできた軽商用車のマスターピース・スバル サンバーの歴史(16枚)画像ギャラリー

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