日本では売れゆき不振? 今EVを買うべきではない「3つの理由」とは

■2)国が優遇策を設定していない

日本には「カンパニーカー」制度がないばかりでなく、国からの優遇策が少ない点もEVの普及を妨げていると筆者は主張する
日本には「カンパニーカー」制度がないばかりでなく、国からの優遇策が少ない点もEVの普及を妨げていると筆者は主張する

 欧州で電気自動車を買っている主体は「カンパニーカー」と呼ばれる社用車。日本の住宅手当と同じく、欧州の優良企業は通勤用にクルマを与える。欧州は電気自動車をカンパニーカーとして出している企業に対し、補助金を含めてさまざまな援助をしていると同時に、電気自動車をカンパニーカーとして導入していない企業に対するプレッシャーをかけている。

 企業としては素直に電気自動車をカンパニーカーとしたほうが企業イメージを含めてすべての点でメリットが大きいという寸法。カンパニーカーとして電気自動車を出してもらった人も、高いガソリンを入れるより安価な電気のほうがありがたい。

 ちなみに欧州では、「ふつうにクルマを買う人」は皆さん電気自動車を選んでいないのだった。スペインのようにカンパニーカー制度の少ない国も電気自動車は売れてない。

■3)性能のいいハイブリッド車が安い

トヨタのヤリスクロスハイブリッドモデルは欧州だと400万円以上だが、日本では229万5000円から買えてしまう
トヨタのヤリスクロスハイブリッドモデルは欧州だと400万円以上だが、日本では229万5000円から買えてしまう

 こらもう日本ならではの事情だ。そもそも日本はクルマが安い。欧州でヤリスクロスのハイブリッドを買うと405万円もするのだった。

 ガソリンだって欧州はリッター300円するのに、日本170円。リッター20km/L走るハイブリッド車なら電気自動車より便利だし、リーズナブル。加えてハイブリッド車は安くて車種豊富。積極的に電気自動車を選ぶ気持ちにならない。

 つまり、日本だと電気自動車は補助金を使っても高価かつリセールバリューが悪く、10年くらいでゴミになってしまう。それでいてアメリカのように朝晩の渋滞時は専用レーンを走れるなどの優遇策もなし。

 決定的なのはハイブリッド車のほうが便利で総合コストも安いこと。そんな国で電気自動車を買おうという人は1.7%しかいないということです。

■国が真剣にEVの優遇策を打ち出すべし!

BYDのドルフィン。中国では政府からの補助金はなくなったが、ガソリン車購入に高いハードルが課されている
BYDのドルフィン。中国では政府からの補助金はなくなったが、ガソリン車購入に高いハードルが課されている

 カンパニーカー制度がなく、充電インフラも整わず(今でも羽田空港の200V普通充電器は5つしかない。外出先で充電したらハイブリッド車の燃費より割高な電気を買わされる)、かといって中国のようにガソリン車を買おうとすると200万円以上のナンバー取得料金を払わなければならないようなこともない我が国は普及の見込みなし。

 とはいえ国際公約により2050年からガソリンが買えなくなることは決まっているし、それによって2030年代の半ばくらいからエンジン車を買う人はいなくなると思う。

 遠からず日本も電気自動車に乗らなければならない時代はやってくることだろう。やがて国が真剣に優遇策を打ち出すに違いない。そうなったら電気自動車も普及すると考えます。

【画像ギャラリー】なぜ日本で電気自動車が売れないのか? 「3つの大きな理由」とは?(35枚)画像ギャラリー

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