2023年の年間の販売台数ランキングは、1位がトヨタ「ヤリス」(194,364台)、2位がトヨタ「カローラ」(154,870台)、3位がトヨタ「シエンタ」(132,332台)、4位が日産「ノート」(102,508台)、5位がトヨタ「ルーミー」(100,800台)と、日本では圧倒的にコンパクトカーの人気が高い。特に近年は、パッケージング性能の向上や新素材の登場、設計、製造技術の向上などにより、コンパクトカーであっても内外装の質感が高く、走りの良さも含めて魅力が一段と増している。
そんな激戦区コンパクトカテゴリーにおいて、独特の個性を放つモデルが、マツダの「マツダ2」だ。
文:立花義人、エムスリープロダクション
写真:MAZDA
マツダ2の魅力その1:コンパクトでもしっかり「魂動デザイン」
マツダは2010年から「魂動(こどう)-SOUL of MOTION」というデザイン哲学を採用している。日本の美意識を大切にしつつ、生命感あふれるダイナミックなデザインは、近年のマツダ車の魅力だ。ただ、ボディサイズに制限のあるコンパクトカーの場合、メーカーの意図するデザインをしっかりと反映させることが難しく、特にハッチバックとなると、豊かな曲線で表現される魂動デザインはかなり厳しくなる。
しかしながら、マツダ2は、マツダ3やマツダ6、CXシリーズのような彫り込まれた彫刻的な曲線ではないものの、柔らかく動きのある造形や動物の目のように印象深いヘッドライト、グリルのパーツ構成など、しっかりと魂動デザインが表現されている。あまりにもディテールにこだわりすぎるとキャビンスペースが犠牲になってしまうところだが、そこのバランスがうまく取れており、走りの良さを感じさせるスポーティさや安定感をベースに、上品な美しさが感じられるデザインとなっていると思う。
マツダ2の魅力その2:クリーンディーゼルが想像以上によい
マツダ2には、トヨタ「ヤリス」や日産「ノート」にはない、クリーンディーゼルがラインアップされている。排気量は1.5Lとコンパクトながら、ディーゼルならではの力強いトルクと低燃費(WLTCモード燃費は2WDで21.6km/L)や(軽油であることによる)経済性は、原油高の昨今においては非常にありがたい、魅力的なパワートレインだ。
出足のよさはガソリンモデルのほうが上、という評価もあるようだが、ぐっと踏み込んでの加速はディーゼルのほうが力強い。静粛性も高く、ロングドライブでも疲れない。足が硬めなので街乗りだと気になることもあるが、グローバルモデルとしてヨーロッパ車に寄せていると思えば、その乗り心地も楽しめてくる。ガソリン車やハイブリッドとは異なる乗り味は、マツダ2ならではの個性だ。
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