車検に定期点検……営業マンとは違い我々お客とは滅多に関わることがない自動車整備士。クルマの健康を守り、私たちが自動車を安心して使えるように日夜作業を続けてくれるクルマの専門家として活躍する彼らの一日に迫っていこう。
文/佐々木 亘、写真/TOYOTA
■整備にも「重い」のと「軽い」のがある
ひと口に自動車整備と言っても、その作業はピンからキリまで存在する。半年や1年といった決まった期間でやってくる定期点検は、整備士から見ると軽めの仕事だ。
車検整備が中間の重さになり、重い作業ではミッションやエンジンを下ろして作業をする。
どちらも大変でどちらの仕事もこなさなければならないのが、整備士の仕事だ。
点検作業では、30分~1時間といった決まった時間でクルマを細部まで確認し、消耗部品の交換を行わなくてはならない。
基本的にタイムオーバーは許されず、1台が終われば次のクルマがもう来ている状態。作業の正確性とタイムマネジメント能力が問われる。
一方で作業としては大変な重整備。もちろん納期はあるのだが、お客様がショールームで待っている点検作業よりは、ゆったりと構えられる整備だ。
特定のクルマに付きっきりで作業することが多く、速さよりは正確性や知識の豊富さを問われる仕事になる。
どちらも大切な自動車整備の仕事だ。
重い・軽いに好みは出るが、どちらがエライというわけではなく、どちらも自動車を安心して走らせるために必要な仕事なのである。
■黙々と整備をし続ければいいわけではない
整備士の仕事は、クルマと向き合うから人と向き合わなくていいと思いがちだが、ディーラーで働く整備士には、お客様と話をする機会が数多くある。
そこで必要になるのは、聴く力と判断する力だ。
お客様から発信されるクルマの問題点を聞き取り、それを理解していつ行うべきかどうかを判断する。
判断をするには、過去の症例や情報を参考にするわけだが、これにはある程度の経験値が必要だ。
また、整備を終えたクルマがどうだったのか。
何をどうしたらいいのか、今後はクルマがどういう状態になるのかを、お客様にわかりやすく伝えるのも整備士の仕事である。伝える力も欠かせない。
一日の予定は、事前にバッチリと組まれている。かなりの過密スケジュールだ。
個人プレーに走れば、全体の予定が大きく崩れ、破綻に繋がってしまう。
営業マンのような個人プレーは必要なく、6人程度が1つのチームになって組織として動くのが整備士の世界。
仲間同士のコミュニケーションも、仕事の潤滑剤として大切なカギを握る。
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