今のクルマは高すぎ……Z世代が国産スポーツカーに触れて何を想う? レーシングドライバー谷口信輝さんが若者に伝えたい事って???

今のクルマは高すぎ……Z世代が国産スポーツカーに触れて何を想う? レーシングドライバー谷口信輝さんが若者に伝えたい事って???

 4人の大学生と日本が世界に誇る最新スポーツカーが一堂に集まった。今回は、Z世代対最新スポーツと題してトヨタ、日産、ホンダから選りすぐりのスポーツカーに乗ってみて「なに」を感じたのか? レーシングドライバー谷口信輝さん自らが特別講師となって今の若者と一緒に考えていく。

※本稿は2024年3月のものです
文/奥野大志、写真/TOYOTA、NISSAN、HONDA、撮影/奥隅圭之
初出:『ベストカー』2024年4月10日号

■Z世代の自動車部員が「最新国産スポーツ」に試乗!

ちなみに今回用意した3台で一番安いのが499万7300円のシビックタイプR
ちなみに今回用意した3台で一番安いのが499万7300円のシビックタイプR

 というわけでスタートした、Z世代の自動車部員による最新スポーツモデル試乗会。「最新の国産スポーツモデルは若者の心をわしづかみにするのか」。それを確認するのが本企画のミッション。

 さまざまなレースで活躍するレーシングドライバーの谷口信輝さんをお招きし、自動車部OBで本誌「それいけ! 大学自動車部調査隊」の連載を担当している、ゴリ奥野が現場からレポートさせていただきます。

 大学自動車部とはドライビングテクニックや整備技術を競う運動部。端的に言うと、大学公認のレーシングチームです。当然ながら部員はクルマ好きばかりで、安価で手に入れた愛車をアルバイト代でなんとか維持している人がほとんどです。

 試乗会に参加したのは早稲田大学の安達悠人さんと林将樹さん、明治大学の片岡叶希さん、日本大学の小熊雄太さんの4名。小熊さん以外は現役の自動車部員で、片岡さん以外は愛車を所有しています。

■大学生は日本のスポーツ車に“なに”を感じる?

大学自動車部員の若者たちは、シビックの乗りやすさに驚いていたが、「もっと荒々しさも欲しい」という声も上がっていた
大学自動車部員の若者たちは、シビックの乗りやすさに驚いていたが、「もっと荒々しさも欲しい」という声も上がっていた

 試乗車は和製スーパーカーのGT-Rニスモスペシャルエディションとモリゾウ会長入魂のGRカローラRZ、ホンダスポーツの最高峰、シビックタイプRというエグすぎるラインナップ。

 車両本体価格は順に2915万円、525万円、499万7300円と超絶ハイプライスで、4人は試乗前からテンション上がりまくり。みんなの愛車は100万円以下なのですから、無理もありません。

 試乗会の冒頭、谷口さんから「大学生には今のクルマは高すぎて買えないから新型車が土俵に上がることもないでしょ!?」というクールなお言葉。いやいや、現実はともかく、今日だけは“憧れてもいいでしょう”ということで、まずは早稲田大学のおふたりから試乗スタートです。

 安達さんと林さんは早稲田大学の社会科学部に通う3年生と2年生。早大自動車部は日本一を争う自動車部界の強豪校で、2023年もDC2のインテグラタイプRで活躍しました。

 そのため練習車として個人車を所有している人が多く、安達さんと林さんも同様。安達さんはロールバーを装着したNA8のロードスター、林さんはLSDが組み込まれたZC31のスイスポで、テクニックを磨いています。

 そんな王道的自動車部員のふたりが最初に乗ったのがGT-R。林さんは600psの怒涛の加速にすっかりハマってしまったようです。

 「ガチすげー。この加速はクセになりますね。安定していて、乱れることもなく、まったく怖くありません。ゆっくり走っていれば静かで、街乗りも快適そうです。これはやばい」(林さん)。

 期待以上のリアクション、ありがとうございます! 一方、安達さんはGT-Rの次に乗ったGRカローラの乗りやすさが気に入ったようで「乗用車として普通に乗れるところに感動しました。アイドルアップしてそのままスタートできるとか、乗り手に優しいのは進歩の結果だと思います。

 高いギアでゆっくり走ってもミッションが揺れないのと、ホールド性の高いシートにも感動しました」。

 ちなみに安達さんのシビックタイプRに対する印象は「タイプRにはDC2のようなキレのあるデンジャラスなイメージを持っていたのですが、ジェントルでどっしりとした質感です。

 DC2の延長線上ではなく、もっと上の次元にあるクルマだと思いました」とのこと。DC2を大会で使い倒している自動車部員ならではの分析です。

 続いては明治大学経営学部3年生の片岡さん。自動車部には入部したばかりで、クルマのことは勉強中とのこと。アルバイトで生計を立てながら、父親が所有しているマニュアルのNDロードスターでドライブを楽しんでいる若者です。

 片岡さんは林さんと同じく、GT-Rが気に入った模様。しかし、着目ポイントは異なります。

 「異次元のパワーとトルクで、踏み切れませんでした。でも、一番驚いたのはセットアップスイッチを操作するだけで、走行フィーリングが変化すること。最新のスポーツカーはやっぱり違いますね。コンフォートからRモードまで試しまくりました」。

 さすがZ世代? 見るべきポイントが違いますね。ドライブモードをはじめ、スイッチひとつで特性をいろいろ変えられるのは今時のクルマならでは。

 4人目は日本大学法学部4年生の小熊さん。実を言うと、小熊さんは某メーカーへの就職が決まっているベストカー編集部の学生アルバイト。自動車部員ではないものの、K12マーチの12SRを所有する濃いキャラクターを買われ、今回の試乗会に呼ばれました。

 小熊さんはGRカローラの試乗を終えて開口一番「程よいアナログ感が残っていて、GRカローラが一番気に入りました。100点満点ではありませんが、その分、楽しめる余地が残っています。操っている感もあるのですが、最後はクルマがきちんと制御してくれています」。

 なんと、クルマにアナログらしさを求めているとは。若いクルマ好きは決してデジタル一択ではありません。

次ページは : ■最新スポーツ車は確かに強烈ではあるのだが!?

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