毎年、春の訪れを感じさせる暖かい日が増えるにつれ、忍び寄ってくるのが「花粉」の恐怖。辛いくしゃみや鼻水は、日常生活だけではなくクルマの運転に支障が出ることもあるだけに、花粉症への対策はぜひ知っておきたい。
文/井澤利昭、写真/写真AC
■大きな事故の原因にもなりかねない花粉症
一説には日本人の半数近くに症状が見られ、もはや国民病と言っても過言ではない「花粉症」。
スギやヒノキの花粉に対するアレルギー反応により、過剰な免疫反応が起こるのがその原因で、鼻水や鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみや充血、のどの違和感や痛みなど、さまざまな症状が発症する。
かかったことのない人からするとあまりピンとこない花粉症ではあるが、症状がひどくなると仕事や勉強、家事も手につかなくなるなど、日常生活にも大きな影響が出てくる。
これはクルマを運転する人にとっては死活問題で、突然のくしゃみでハンドルやペダル操作を誤ったり、涙目で視界が遮られたことによる追突事故などを起こしてしまうことも。
ところが、家庭内への花粉の持ち込みには多くの人が神経質になるにもかかわらず、同じく密閉された空間であるクルマのなかに花粉を持ち込まないための対策はなおざりにしてしまいがちなもの。
運転中に起こる花粉症の症状は大きな事故の原因にもなりかねないだけに、本格的な症状が出る前にしっかりとした対策を講じておきたい。
■花粉を車内に持ち込まないための衣服選び
家庭での花粉症対策と同様、クルマでもまず気をつけたいのが車内に花粉を持ち込まないようにすることだ。
花粉は衣類に付着して車内に進入してくるケースが多いため、クルマに乗り込む際は、前もって衣服に付いた花粉をしっかりとはたき、極力落とすよう心がけたい。
また、クルマに乗る時の衣服の素材選びにも気を遣いたい。朝晩はまだまだ肌寒いと感じることもある春の花粉の季節にはアウターが必須となるが、この素材にはポリエステルやナイロン、革など表面がツルツルしたものを選ぶと花粉が付着しにくい。
反対にニット帽やセーターなど、ウール素材などでできた衣服は花粉が絡みやすいため、花粉対策の観点から見ると避けておいたほうが無難だ。
さらに花粉を衣服に引き寄せる原因として気をつけたいのが静電気だ。同じ素材の衣服であっても、静電気を帯びている場合は、帯電していない時と比べてより花粉が付着しやすくなる。
静電気はプラスの電気が帯電しやすい素材とマイナスの電気が帯電しやすい素材がこすれるとより発生しやすいため、ナイロン(+)とポリエステル(-)やウール(+)とポリエステル(-)といった異なる特性の素材を組み合わせたコーディネートは、できるだけ避けたいところ。
一方、同じプラス同士の性格であるナイロンと絹や、同じくマイナス同士の麻と綿などを組み合わせであれば、静電気は発生しにくくなる。
それに加えて、市販の静電気防止スプレーをあらかじめ衣類に吹き付けておくことや、洗濯の際に静電気防止効果のある柔軟剤を使用するのも効果的だ。
■車内に花粉を入れないエアコンの設定とは
クルマが走っている時であっても、花粉は情け容赦なく車内に進入してくる。窓をしっかりと閉めておくのはもちろんだが、エアコンも花粉の侵入経路になる可能性があるため、使用時は注意が必要だ。
まずカーエアコンを使用する際は、花粉を多く含んだ外気をシャットアウトするために、必ず「内気循環」で運転するようにしておくことが肝心。
特に最近のクルマに多いオートエアコンでは「外気導入」と「内気循環」が自動で切り替わることがあるため、花粉の進入を防ぐにはオート機能をあらかじめカットし、手動での運転に切り替えておくことが必要だ。
また、クルマに大人数が乗る場合など、どうしても外気導入に切り替えたい場合に重要となるが、エアコンフィルターの存在。
フィルターが汚れたままの状態では花粉やチリ、ホコリといったものを除去する性能が充分でないため、フィルターの寿命といわれる1年以上、点検や交換をしていないというのであれば、ディーラーやカー用品店などでのチャックが必要となる。
汚れがひどいなど交換が必要な場合は、花粉に加えてPM2.5対策などにも有効な、より高性能なタイプをチョイスするのもありだ。
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