■坂道発進時のサイドブレーキ
MT車の場合、激坂で停止した状態から発進する時、サイドブレーキは多くの場合必要。
MT車の運転に慣れているドライバーやパワーのあるエンジン搭載車なら、ブレーキペダルからアクセルペダルへの素早い踏みかえで何事もなかったかのように発進するが、この「坂道発進」は技能教習のなかでも難しいといわれていた。
しかし、今や国内を走るクルマの約98%はAT車。
MT車が多かった数十年前は必須のテクニックだったが、今では駐車時以外は使わない……という人がほとんどだろう。
AT車はクリープ現象(ATセレクトレバーがPやN以外ではアイドリング状態でも進もうとする現象)により、坂道ではブレーキペダルを軽く踏むだけで停まっていられる。
発進時に少し下がるクルマもあるが、MT車のようにガーっと下がるわけでもないので、相当な激坂でもない限り通常使用でサイドブレーキを使うことはほとんどないだろう。
それよりも、下りでDレンジ以外の2やLレンジなどの低いレンジを積極的に使えるようになる技能教習のほうがかなり使える……気がする。
■なんでもかんでもキープレフト
世代的には筆者も教習所で「キープレフト!」と教わった。その時に、「なぜキープレフトなのか?」を教わった気もするが、「キープレフト」という単語のみが頭にこびりついている。
キープレフトの元となる道路交通法は次のとおり。
道路交通法 第18条(左側寄り通行等)
「車両(トロリーバスを除く)は、車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き、自動車及び原動機付自転車にあっては道路の左側に寄って、軽車両にあっては道路の左側端に寄って、それぞれ当該道路を通行しなければならない。ただし、追越しをするとき、第二十五条第二項若しくは第三十四条第二項若しくは第四項の規定により道路の中央若しくは右側端に寄るとき、又は道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは、この限りでない」
ここには「なぜか?」が書いていないので、「キープレフト」を「とにかく道路の左寄り」や「高速道路では左端の車線」、「自転車がいようがオートバイがいようがとにかく左寄り」なドライバー、ライダーも一定数存在する。
キープレフトは、二輪車の“巻き込み防止”のために教習所が重要視して教えている。
しかし、なんでもかんでもキープレフトをすると、以下の問題点が浮上する。
1.出会い頭の事故が増える
常にキープレフトをしていると、路地から出てくる車両の発見が遅れ、接触する可能性が高まる。
2.あおりハンドルの可能性が高まる
「あおりハンドル」とは、左折時にいったん右にハンドルを切ってから左折する動作のこと。この行為は、後続車や対向車と接触する可能性もあるため、非常に危険で迷惑な行為として知られている。
3.自車がパンクする可能性が高まる
道路は、排水・排土性を考えて両端が少し下がった構造になっているため、めいっぱいキープレフトすると道路脇に溜まったゴミや石、異物などを踏む可能性が高まる。
4.水・泥はねで歩行者に迷惑をかける可能性が高まる
両側が少し下がった構造の道路は、雨天時には両側に水が溜まりやすくなる。ここを走行して歩行者に水・泥はねをすると「泥はね運転」となり、道路交通法で違反となる。
これら以外にも、「なんでもかんでもキープレフト」は問題点が多くあり、メリットよりデメリットのほうが多いのでは? と思うのだ。
また、きちんとキープレフトを行うと、クルマの左後方を走るオートバイからすれば「執拗に幅寄せしてくるクルマ」と思われるかもしれないが、 “巻き込み防止”を考えればこの行為は間違いではない。
しかし、「あおり運転」と勘違いされる場合もあり、であれば「キープレフトを解いて先に行かせる」という選択もあることを頭に入れておきたい。
クルマを運転するうえで、譲り合いはとても重要。しかし、双方が譲り合ったあげく事故! とならないように注意してくださいね。
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