当時の[S2000]は無敵!? ホンダが本気出したら怪物が生まれた件

■ストレスなしに9000回まで回る驚異の心臓!!

かの有名なF20Cエンジンは、とにかく半端ない!!
かの有名なF20Cエンジンは、とにかく半端ない!!

 真っ先に注目したいのはなんといってもエンジン。量産ユニットで2L、250ps/22.2kgmというパワースペックは文句なしに世界最高の性能とフィーリングだ。

 ホンダのスポーツNAは200psを発生するインテRの1.8L、185psを発生するシビツクタイプRの1.6Lなど、世界最高レベルのユニットがすでに存在する。どれもがリッター/110psを楽に超える。

 ところがS2000はなんとリッター/125ps!!エンジンは同じ気筒数なら排気量が少ないほどリッター当たり馬力を稼げるのだが、S2000はその常識をくつがえしてしまったのだ。

 当然、F1を筆頭とするレーシングエンジンの技術がフルに導入されている。

「開発してる時は限界かと思うんですが、開発しちゃうとネ、また次の日標に向かえるんですよ」とは乙部氏。まだまだ進化は続きそうだ。圧巻は高回転の伸び。

 レッドゾーンはなんと9000回転から。ちなみにシビツクタイプRとインテRが8500回転だから、S2000の高回転性能の凄さがわかろうというもの。しかも、見せかけのレッドゾーンではない。

 VTECが作動する5850回転に達すると、一段と高まる咆嘩とともに、さらなるパワーの盛り上がりがあり、イッキにレッドゾーンヘ突入する勢いなのだ。

 レブリミッターが作動して、初めて9000回転に突入したのがわかるほど、ストレスなしに回りきってしまうのに驚いた。

 素晴らしいのはVTECゾーンだけではない。低〜中回転域も実にトルクフルで、スムーズなパワーの盛り上がりを見せる。

 試しに2000回転くらいで走らせてみたら、5速でもギクシャクしない。日常の使い勝手はまったく問題なしである。

 こんなウルトラハイポテンシャルなユニットがLEVエンジンであることに感動すらする。

 現在、2000年の排ガス規制をクリアしているのは、このS2000のみというのだから、ホンダの技術、恐るべしなのだ。

 ホンダ自製の6速MTの仕上がりも素晴らしかった。小ストロークながら、軽いタッチでスパッと入るし、ダイレクト感も高い。

 最近のGTではアルテッツァやシルビアも6速MT(両車ともアイシン製)を採用しているが、フィールはそれ以上だ。この6速MTをフルに活用しての走りはごきげんそのもの。

 クロスレシオにより、1速から2速、3速、4速へと回転限界でシフトアップしていくと、2速シフトアップ時に5875回転、3速で6519回転、4速で7056回転となり、VTECゾーンをキープした、パワー感みなぎる刺激的な走りとなる。

 一方、日常使用で高いギアポジションを積極的に使えば、かなりの燃費も期待できそう。なにしろ、10.15モードが12.0km/Lという高燃費車なのだ!

■まさに人馬一体。文句のつけようがないハンドリング!!

オープンなのに、高剛性ってマジ??
オープンなのに、高剛性ってマジ??

 ハンドリングもファンタスティック。2L、FR、オープンスポーツとしては、これまで私が経験したことのない完成度の高さである。

 まとめて言うと、軽快かつダイレクト感に富んだ身のこなしと、自由度の高い姿勢コントロール性能を持ち、かつ高い高速安定性を見せる。

「FRスポーツのハンドリングはこうあってほしい」といったスポーツファンの期待がギッシリ詰まったクルマなのだ。

 ショート&ワイドなボディと、重量物をホイールベースの間に極力集めたパッケージングは軽快さを強調するコンパクトスポーツのセオリーだが、これだけのことではS2000の素晴らしいハンドリングは不可能。

 その要といえるのは、とびっきり高性能なボディにある。オープンボデイでありながら”ハイXボーンフレーム”と称された強靭な骨格の開発で、クローズドボディ同等以上の高剛性ボディを達成したのだ。

 しかも、極めて軽量であり、2Lオープンで1240kgの車重にとどめている。とはいってもホンダにとって、この1240kgは不満のようで、

「開発段階では1200kgを切ることが目標でしたが電動オープンの装着などで、この数字になりました」(技術者)。

 このボディがディがあるからこそ、サスペンションも設計どおりのジオメトリーを描けるし、ステアリングもリニアリティの高いものが作れたというわけだ。当然、ダイレクト感に優れ、人馬一体ともいうべきハンドリングが得られたのだ。

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