■内装はオーナーが常に見る場所だが
高級感を演出するもう一つのポイントがインテリアです。パッと見た印象で善し悪しが判断されるエクステリアとは異なり、インテリアのデザインと装備はオーナーが運転している間、常に目にし、触れています。
LBXの内装ですが……インパネやドアトリムにスエード調表皮を被せて、高級な雰囲気にしていますが、例えば、リアドアのトリムはソフトパッドではなく、樹脂にソフトフィール調の塗装をしただけです。
スエード調の表皮も表面がツルツルですが、もうちょっとバックスキンの風合いが欲しいところです。これは460万円のクルマの内装としては物足りないです。
インパネはフラッシュパッドで、バキュームをかけながら加工してソフトフェイシアに成形したもので、これは高級車のインパネです。ドライバーに向いた正面はスエード調の表皮で仕上げています。
メーターは文字が小さく少し見づらいです。一番重要な速度表示は、識性がよくない書体の小さい文字で、瞬時の読み取りは少し難しいです。
天井の内張表皮も目付が粗い素材で作られています。
インパネやドアトリムにスエード調表皮を使い、シートにはセミアニリン本革にウルトラスエードを組み合わせた表皮を使っていますが、乗員の目につきにくい、天井内張等は軽量化と価格の抑制をしています。
リア荷室の内張も同様に目付が粗く、手触りも少し毛羽だっています。
運転席シートに座ると、座面先端に「角」があって腿の裏を圧迫します。この位置にはもっとクッションを持たせ、優しいRをつけてほしい。腿の裏にある血管の血流はとても大事です。
座面中央部のクッションストロークが少なく、座面が薄く感じます。お尻を下ろした時に、座面にスッと包まれる感覚が薄いです。
アクセルペダルはオルガン式ですが、トヨタのオルガンペダルはどのクルマでもフロア側の支点が内寄りで、踏み板部が外側に斜めに配置されています。
ペダルの斜めの配置は、ペダルの踏み替えや、保持性はいいのですが、ブレーキペダルの中央よりも右側を踏んだ際、右足靴の踵がアクセルペダルに引っかかりやすくもなります。
もう少し、支点を15mm程度外側に出して、立てた配置のほうがペダルの操作性と共踏みの防止が向上すると思います。
後席ドアを開閉すると、特に閉めた際に“バーン”と金属の干渉音がします。ラッチの金具が当たる音です。これは製造時の建てつけ精度によると思われます。
後席ドアの開きは角度が小さく、いっぱいに開けても斜め後方から乗り込むような動作となります。最近のユーティリティコンパクトカーなどでは90度近くまで大きく開きます。
コンパクトカーのプラットフォームなのでドア開口部の足元スペースは狭く、さらにシルの段差も深いので足を通過させるスペースが不足します。このリカバーのため、ドアの開口角度を大きくして足元スペースを稼ぐクルマが多いのです。
後席の座面の末端が張り出しているため、お尻が止められてしまい、乗降時に足元が地面に着き難くなっています。シートの末端を5cm程内側に削除しても、快適性には影響しません。
後席も前席同様、座面のクッションストロークが少ないので、お尻が跳ね返され、スッと沈み込んで包まれる座り心地はありません。
その目線でクロストレックを見ると、しっかりと座面前端部が斜めに内側に切り取られています。スッとお尻を出し入れでき、足が地面に着きやすいです。
LBXの荷室フロアボードはセットする位置で高さを2段で調整できてよい。奥行きや横幅は標準的なコンパクトSUVのサイズです。
全長がLBXに対し290mm長いクロストレックでは荷室奥ゆきに余裕があります。ただ、荷室フロアは高く、意外と背の高い荷物は積みにくいです。
荷室フロアカーペットの目付を見てください。266万円のクロストレックと460万円のLBXで、ほぼ同じ質感です。やはり販価相応にこのあたりの質感は大切にしてほしいです。
コメント
コメントの使い方