■アクセル・ブレーキの操作に集中できるため、より速く走れる!!:渡辺敏史
8速ATを手に入れてより開かれたクルマとなったGRヤリス。さりとて、家族で共有するようなブツではないことは明白で、街乗りもできる競技車両に「楽」というキーワードが加わっただけの話だ。
街中で多用する速度域での乗り心地にザラ味が減ったのは、スポット増しや締結強化などの剛性対策が奏功しているのだろうか。速度域が高まれば上屋の動きはフラットさを増していくも、やはり車内は相変わらず騒々しい。そして時折踏む目地段差の鋭い突き上げが、そういう出自だとリマインドさせてくれる。
そもそも楽するためではなく、速く走るために開発されたATが真価を発揮するのはいかにも日本の峠道的なタイトコーナーだろう。
低回転域のトルクが厚くはないハイチューンの1.6L、3気筒ユニットの特性を、トルコンとワイドレシオとが巧くカバーしてくれるおかげで、加減速の繋がりはスムーズだ。そういったスポーツドライビング状態では、クルマ任せの変速でも攻めたギアを拾い続けてくれる。
すでに速さはとんでも領域のクルマゆえ、ステアリングとアクセル・ブレーキの操作に集中して運転に没頭できれば、結果的に速さへのプラスとなる。対すれば6速MTは運転という行為を慈しみたい人への選択肢となるだろう。
●POINT採点チェック
・ハンドリング……10点
・加速性能……9点
・ブレーキ性能……10点
・乗り心地……5点
・運転のしやすさ……7点
・コストパフォーマンス……9点
■8速DATのDレンジでのパドル操作不要の完全自動変速が新鮮!!:山本シンヤ
エクステリアの変更はすべて機能のためですが、エボモデルらしいアグレッシブさがプラスされた印象。インテリアはインパネ刷新、シートポジション改善で、操作性が格段にレベルアップ。ただ、ジャパンタクシーっぽいデザインはもう少し頑張ってほしかった(笑)。
エンジンは出力向上よりも、応答のよさとパンチのある力強さ、そしてレッドゾーンを超える勢いで回るフィーリングと、より野性味のある特性に。
新設定の8速DATはDCTと錯覚するシフトスピードとダイレクト感に加えて注目はDレンジでパドル操作不要の完全自動変速で、コイツは新鮮。
現状では走行条件でシフト制御が悩むところはあるが、MT同等に戦えるATに仕上がっていると感じた。
ハンドリングはややじゃじゃ馬的だった従来モデルに対して、操作に対する反応は自然になっており、「ダイレクトなのに穏やか」という不思議な感覚。
コーナリングの一連の流れの連続性も増しており、イメージ的にはGRMNヤリスの安定感と従来型GRヤリスのヒラヒラ感をバランスよく両立させた走り。より安心、より自由度が増した走りだ。
総じて、進化型と言いながらその伸び代はフルモデルチェンジ並み。その伸び代に筆者は従来モデルから乗り換えた。
●POINT採点チェック
・ハンドリング……9.5点
・加速性能……8点
・ブレーキ性能……7.5点
・乗り心地……7点
・運転のしやすさ……9点
・コストパフォーマンス……8点
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