世はまさに大物価高の時代。給料は上がらないがクルマは欲しい……なんて人にオススメしたいのがお値段お手頃アンダー110馬力車だ。各社ガソリンターボからハイブリッドまで幅広く揃えられている。そこでここでは「乗り手に感じさせる走る歓び」と題してアンダー110馬力の新車達をご紹介しよう。
※本稿は2024年8月のものです
文:渡辺陽一郎/写真:ベストカー編集部、トヨタ、マツダ、スズキ
初出:『ベストカー』2024年9月10日号
■乗り手に感じさせる「走る歓び」
最高出力を110ps以下に抑えたコンパクトなクルマを運転すると、動力性能の高いスポーツモデルとは異なる楽しさを感じる。例えばスイフトやマツダ2は、ボディが小さくて軽いから、峠道などでは車両の進行方向が機敏に変わる。
挙動が乱れても、ボディが軽いために修正操作をしやすい。油断は禁物だが、気持ちに余裕を持ってスポーティな運転を満喫できる。
またアンダー110psの車種は、動力性能の余裕が乏しいため、漫然と運転したのでは速く走れない。ATのマニュアル操作を積極的に行い、エンジンパワーをフルに引き出す必要がある。これもアンダー110psの大切な楽しさだ。
動力性能の高い車種の積極的なシフト操作は、運転を楽しむための作業になりがちだが、動力性能の低い車種では必然性を伴う。ドライバーも真剣に取り組む。
特にスイフトハイブリッドMXには5速MTが用意される。5速MTの目的を開発者に尋ねると「25.4km/LのWLTCモード燃費を達成するため」と返答されたが、スイフトのエンジンは少し高回転志向だ。5速MTでは吹き上がりのよさを満喫できる。
スイフトはスポーツ性の高いクルマではないが、車両の挙動は素直だ。シフト/アクセルワークとステアリング操作を伴った荷重移動を適切に行うと、滑らかに速く走らせられる。中高年齢層のドライバーは、若い頃に出力の低いクルマで味わったスポーティドライブを思い出すだろう。
今のクルマは、安全性や環境性能が飛躍的に進化した。しかし走る歓びを得られるクルマは、あまり増えていないのではないか。
アンダー110psのコンパクトカーは、時代を経ても変わらない普遍的な走る歓びを秘めているように思う。そしてアンダー110psでは、運転テクニックを上達させる効果も期待できる。つまりビギナーからベテランまで、さまざまなドライバーが走る歓びを実感できるのだ。
■スズキ スイフト(ハイブリッドMX、5MT)
1.2L直3エンジンは少し高回転志向で、4000rpmを超えると加速が活発になる。CVTでは実用回転域の駆動力が少し足りないが、ハイブリッドMXの5速MTなら高回転域まで回して楽しく運転できる。ステアリング操作に対する反応も正確で、車両との一体感を味わえる。
●スズキ スイフト(ハイブリッドMX、5MT)
・エンジン:1.2L直3DOHC
・最高出力/最大トルク:82ps/11.0kgm+モーター3.1ps
・車両価格:192万2800円
■マツダ MAZDA2(SKYACTIV-G)
マツダ2は1.5L直4ガソリンエンジンと、クリーンディーゼルターボを用意する。ガソリンは吹け上がりが自然で、ディーゼルは実用回転域で余裕のある駆動力が魅力だ。さらにカーブを曲がる時の挙動変化が適度に機敏で、峠道などでは一体感のある走りを楽しめる。
●マツダ MAZDA2(SKYACTIV-G)
・エンジン:1.5L直4DOHC
・最高出力/最大トルク:110ps/14.5kgm
・車両価格:154万8800~230万3400円
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