■キャビンの広さはウリのハイゼットジャンボ
ハイゼットトラックで注目されるのが、室内空間の上側を拡大したジャンボだ。ハイゼットトラックの販売総数の内、約20%をジャンボが占めて、人気のモデルになった。
ジャンボの全高は1885mmだから、スタンダードルーフに比べて105mm高く、頭上にはタップリした空間がある。
高い天井を生かして、ワイドなオーバーヘッドシェルフも装着され、収納性も優れている。室内空間を張り出させた上側は荷室長が短くなるが、下側の荷室面積は十分に広い。従って薄くて長い脚立などは積みやすい。
■軽商用としては異例の豪華装備を満載
装備面では、安全装備のスマートアシストを進化させた。ハイゼットトラックも含めて、センサーとなるステレオカメラを刷新している。
従来の衝突被害軽減ブレーキの検知対象は、歩行者と4輪車だったが、新たに自転車やモーターサイクルにも対応できる。衝突被害軽減ブレーキの作動速度も引き上げた。
さらに車線逸脱抑制制御機能、路側逸脱警報、進入禁止や一時停止などの標識をディスプレイに表示する機能、ハイビーム状態を保ちながら対向車などの眩惑を抑えるLEDヘッドランプのアダプティブドライビングビームなども加わった。
運転支援機能としては、車間距離を自動制御できる全車速追従型クルーズコントロール、車線の中央を走りやすいように操舵制御を行うレーンキープコントロールなども用意した。
特に注目されるのが、クラス初採用のスマートインナーミラーだ。ボディの後部にカメラを取り付けて、その映像を液晶のインナーミラーに表示する。
この装備はアトレーやハイゼットカーゴにも用意されるが、ハイゼットトラックは特に利用価値が高い。トラックは背の高い荷物を積むことが多く、後方視界も妨げられやすいからだ。ハイゼットトラックをベースにした保冷車などは、荷台に大きなボックスを架装している。
通常のルームミラーは機能しないので、スマートインナーミラーが有効だ。ただしハイゼットトラックのスマートインナーミラーのカメラは、低い位置(リアナンバープレートの上側付近)に装着される。
カメラの角度を上向きにしてはいるが、後方を走る車両との車間距離が近い時は、後続車の下側しか映らない。その点でアトレーとハイゼットカーゴでは、カメラが高い位置に装着されるから、後続車のフロントマスクも分かりやすい。
軽商用車は、軽乗用車以上に競争が激しい。そのために荷室容量は歴代モデルによって突き詰められ、ほとんど差が生じない状態になっている。軽商用車の場合、全長/全幅/全高の規格枠が厳然と設定されているので、荷室の面積や容量は、もはやほとんど拡大できないのにだ。
そこでさまざまな使い勝手を工夫している。アトレーとハイゼットカーゴでは、荷室については出っ張りを抑えて、収納性をさらに向上させた。そして内装の質感、前席の座り心地、収納設備、安全装備などをバランス良く改善して、価格はタントのような軽乗用車以上に割安に抑えた。
価格はハイゼットカーゴが104万5000円~160万6000円、ハイゼットデッキバンが132万~170万5000円。アトレーが156万2000円~182万6000円。アトレーデッキバンが191万4000~206万8000円。ハイゼットトラックが90万2000~134万2000円、ハイゼットトラックジャンボが109万4500~145万2000円。
ダイハツは2021年1~11月に1ヵ月平均で1万2800台の軽商用車を販売した。スズキの9200台を大幅に上まわる。
この優位な立場を守ることも視野に入れ、新型アトレー/ハイゼットカーゴ/ハイゼットトラックは、渾身の開発を行っているのだ。
■各車種のエンジンスペック&WLTCモード燃費
●アトレーRS、X、デッキバン全車種(658㏄、直3ターボ、64ps/9.3kgm、CVTのみ)
WLTCモード燃費:14.7km/L(FR、4WD)
●ハイゼットカーゴ
・クルーズターボ(658㏄、直3ターボ、64ps/9.3kgm、CVT車のみ)
WLTCモード燃費:14.7km/L(FR、4WD)
・クルーズ、デラックス、スペシャルクリーン、スペシャル、デッキバンG、L(658㏄、直3NA、5MT車は46ps/6.1kgm、CVT車は53ps/6.1kgm)
WLTCモード燃費:5MTのFR、4WD車は14.9km/L。FRのCVT車は15.6km/L
※市街地モード、郊外モード、高速道路モードは車種によって違いあり
●ハイゼットトラック(FR/4WD)
・スタンダード、ハイルーフ、ジャンボ全車種(658㏄、直3、46ps/6.1kgm)
WLTCモード燃費:5MT車のFR、4WDは15.6km/L。CVT車のFRは16.5km/L、4WDは15.8km/L
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