パワーユニットはノートe-POWERから大きく進化
さて海外にもない日本オリジナルの新型キックスe-POWER。まずはそのドライブトレーンから説明しよう。
e-POWERのシステムは基本ノートe-POWERと同じ発電用の1.2L、直列3気筒エンジンを搭載し、その電力で駆動用のモーターを回して走る。
ただノートe-POWERよりエンジン5%アップ、バッテリー出力15%アップ、モーターパワー19%アップの95kWの出力を発生する。
ちなみにノートe-POWERの出力は80kW。最大トルクも254Nm→260Nmへと力強くなっている。
実は搭載されるモーターはリーフと同じもので、リーフの場合160kWを発生する。つまりモーターそのものの出力には2倍近いマージンがあるのだが、この出力となるのはインバーターの容量差によるもの。
リーフの場合バッテリーから直接電気を取るのでインバーターは大容量のものひとつでいいが、e-POWERはエンジン発電用にも必要なので2個のインバーターが必要になるのだ。
つまり搭載スペースの問題でe-POWERモデルではインバーター容量に制約が発生する。例えばセレナe-POWERでは同じモーターでも100kWの最高出力を発生しているのだが、これは車高の高いセレナゆえに大型のインバーターが搭載できるから。
キックスのインバーターはノートと同じものが採用されている。それでもノートe-POWERよりも大きな出力を得られるようになっているのは電力の出入力のマネージメントを引き上げたからだ。
引き上げても十分に余裕があるという。これもリーフで得た知見の積み重ね。この分野における日産の技術力を証明している。
気持ちのいい加速感
走り始めよう。
ドラポジはSUVらしさを感じさせず、かといって乗用車ほど低くなく、ちょうど中間の自然なポジションで馴染みやすい。
大型のタッチ式センターディスプレーにルームミラーは多人数乗車で後方視界が悪いときに後方カメラ映像に切り替えられるディスプレー式。
シートは電動ではなく手動式。座面のフィット感がしっかりしていてホールド性もいい。
アクセルを踏み込むと出だしから力強くスルスルと加速した。カメラマンと編集者そして筆者の3人乗車。筆者の体重は60kg弱。他2名はそれ以上(失礼)。合計200kg以上は確実にあるはずだが、まったく問題なく加速する。
高速に入ってからの60km/h以上での加速感も伸びがある。と同時にエンジンが静かになっている。
静粛性の高さと自然なドライブフィール
45km/h以下ではこれまでエンジンを2400rpm回して発電していたものを2000rpmに下げているのだ。30km/hまでではエンジン出力を70%に抑えて静けさを出しているという。
バッテリーはノートe-POWER同じ1.5kWhの容量だが電気の出し入れの効率化などにより、エンジン回転を下げ発電量が下がっても十分にフォローできるのだ。
これまで30km/hで走り続けた場合、バッテリー充電によってエンジンが止まるまでに2400rpmだと5分だったものを2000rpmに下げ6分かかるようにした。1分長くなるが感じるエンジンノイズが小さくなるぶん快適に感じるようになる。
特にスタートなどでノートe-POWERはいきなりエンジン回転が上がる傾向にあったのだが、そこを抑え、また速度が乗り加速が衰えてもエンジン回転だけが高どまりする傾向があったものを自然になるようにマネージメントを変えている。
そこに車体の遮音も追加しているのだという。そのため低速から高速走行まで室内の静粛性は高い。
ドライブモードはSとノーマルとエコの3種類で、e-POWER売りのeペダルはSとエコでアクセルOFFの時0.15Gの回生ブレーキで減速する。この減速マネージメントもとても自然に感じる。
ノーマルモードでは回生ブレーキはなく、逆に加速感はSに近く、エコではかなりゆったりとした加速だ。
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