世界で最も有名なタクシーと言えばロンドンタクシーで、その歴史は古い。しかし、自動車産業が電動化に舵を切るなか、伝統のロンドンタクシーと言えども例外ではない。
日本ではトヨタがジャパン(JPN)タクシーを2017年から販売しているが、ロンドンに対しジャパンというネーミング、エクステリアデザイン、コンセプトなどロンドンタクシーの影響を大きく受けているのがわかる。
新世代のロンドンタクシーは、LEVCジャパンを通して日本に正規輸入されている。最新モデルであるロンドンタクシーTXを松田秀士氏が試乗&レポートする。
文/松田秀士、写真/LEVC
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後輪駆動採用で優れた小回り性
ロンドンタクシーというと英国調の歴史を感じさせるエクステリアデザインの落ち着いたモデルを想像しがちだが、現在のモデルは時代にふさわしい装備と性能に進化している。
大きな変化はやはりEV化だ。これは現在の経営権が中国のジーリー社に移行していることと関係がある。ジーリー社はボルボも傘下に収める企業。
それゆえステアリング周りなど操作系の随所にボルボ車と同じパーツが使われていることに気付くのだ。
まずそのスペックだが、現行モデルはかなり大きい。
全長4855×全幅2036×全高1880mm、ホイールベース2985mmだ。ちなみにトヨタ・ジャパンタクシーは全長4400×全幅1695×全高1750mm、ホイールベース2750mmだ。
このように比べてみても現在のロンドンタクシーは巨大。しかし、決定的な違いはジャパンタクシーがFFであるのに対してロンドンタクシーはFRなのである。
これによってジャパンタクシーの最小回転半径が5.3mなのに対してロンドンタクシーは4.012mと圧倒的に小回りができるのだ。これはロンドンにある高級ホテル、サボイ・ホテルのエントランスを切り返しせず1回で通過するためだとか。
FRゆえに駆動軸は後輪にあるわけで、フロントタイヤの切れ角を大きくとれるから実現したこの小回り性能。
同じくホンダeもRRという後輪駆動ゆえに小回りが利く。今後EVのキーワードは後輪駆動になるのかもしれない? と筆者は感じるのだ。
BEV(バッテリーEV)であれば後輪軸上にモーターを置くだけでホンダeのように後輪駆動が可能になる。
したがってフロントタイヤは操舵に集中させることができるわけで、ハンドリングもよく小回りも利くという一石二鳥になるわけだ。
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