まとめ:VWのSUVの実力には敬服するが、あと一歩ほしいところも
SUV3兄弟の棲み分けは、完璧にできている。小さいボディでよく走りたい方にはT-Cross、お洒落だが走りは一級品でパワフルな加速を味わいたい方にはT-Roc、そして、海へ山へとオールラウンダーなパーフェクトSUVが欲しい方にはティグアンといったように、ユーザーの好みや用途に応じて、ラインアップが充実していることは、ありがたいことだ。
また、売り手としても、自社車でおすすめモデルを変えることもできるので商売がしやすいだろう。常勝VWの底力を見せつけられたようだ。
ただし正直なところ、3兄弟ともに乗り味の面での期待値に届いていなかったことが気になる。
それは、試乗車として用意されていた現行ゴルフVII(TDI/TSI Highline master)の印象があまりにも素晴らしく、SUV3兄弟のどれもが、少しずつ届いていないことだ。
それは、走りの軽快さ、車内の快適性、静粛性、高速走行の安定感、インテリアの質感、荷室の使い勝手、そしてコストパフォーマンスなど、いずれもゴルフのほうが優れている。
例えば、ゴルフVIIでは、リアサスのトレーリングアーム式は、15インチと16インチのベーシックモデルのTSIの中位グレード以下のみで、それ以上のグレードには4リンクのマルチリンク式となる。
T-CrossやT-Rocのように、17インチや18インチタイヤとトーションビーム式の組み合わせでは、路面からの突き上げに対しては対処ができていない。世界の国民車「ゴルフ」と、それ以外のクルマとの差が、明確にあるように思う。
もし、ゴルフVIIの「走りの質感」までもが、SUVへと完全移植できていたならば、T-CrossやT-Rocにも、満点を付けざるを得なかったが、そうなっていない点は残念なところだ。
ちなみに、VWのラージサイズSUVのトゥアレグは2代目が2018年5月をもって日本での販売を終了。2018年3月に発表された3代目トゥアレグの日本導入も見送られている。
ゴルフVIIIは2021年前半に日本導入予定
第8世代へとフルモデルチェンジをしたゴルフは、2021年の前半には、日本市場で販売開始する予定だという。サイズはほとんど変えず、中身の進化へ注力した新型ゴルフVIIIもまた、期待されている一台だ。
電動化へと強烈に舵を切っているVWは、EVのIDシリーズを怒涛の勢いで増やそうとしている。しかし、現行のゴルフ7が持つ、走りの質感や世界感が、きちんと反映されていくのかが気になるところだ。
純ガソリン仕様のゴルフは、ゴルフVIIで終わりともいわれている。日本のメディアやエンスー達は、長年憧れてきた世界の大衆車「ゴルフ」がどれほど進化しているのか、日本上陸が待ち遠しい。
新たなに加わったモバイルオンラインサービス”We Connect”
2020年12月4日に発表された”We Connect”とは、従来のVW車にあったCar-Netというモバイルオンラインサービスの内容を、さらに充実させたものとなる。
離れたところからでも、クルマの施錠状態を確認したり、空いている場合にはロックをかけたり、ドア閉め忘れやライトの消し忘れの確認(遠隔地からの窓閉めはできない)、駐車位置の探索、オンライン盗難防止アラーム、オンラインルート計算、オンライン地図更新などができるようになった。これが3年間は無料で利用できる。
この手のコネクティッドに関するアプリケーションは、どの自動車メーカーでも導入を急いでいるところだ。スマホと連携すれば、クルマをオンラインにつなぐことができる。
そうなると、例えばGoogleでキーワード検索をすると、関連商品の広告が大量に表示されるようになるなど、メーカー側としてもできることが一気に増える。
目的地を検索したら、近くのおすすめのカフェをずらっと自動表示してくれるようになるのかもしれない。実に便利なモバイルオンラインサービスだ。
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