ティグアンTDI 4MOTION Highline/519万9000円 &TDI 4MOTION R-Line Black Style/554万円
ティグアンは、欧州市場で年間20万台以上が売れており、強豪揃いの欧州市場で最も成功しているミドルサイズSUVだ。日本国内でのガチンコライバルは、RAV4、エクストレイル、CR-V、フォレスター、CX-5といった国産4WD SUVにあたる。
グレードによっては国産4WD SUVよりも200万円以上高い価格となるが、価格に見合う出来に仕上がっているのかがポイントだ。
試乗したのは18インチタイヤを履いたHighlineと、19インチタイヤを履くR-Line Black Styleの2台だ。
低音で「ガンッ」と閉まるドアを閉じる音から、剛性感に溢れたしっかり感を感じる。T-CrossやT-Rocもそれなりによかったが、それとは次元が違う感じだ。「VWといえばこの重厚な音だよな」と、それだけで安心感が得られるほどだ。
エンジンはどちらも、2LディーゼルターボのTDI(150ps/34.7kgm)と、T-Rocと同じ出力値となる。
T-Roc(1430kg)に対して、ティグアンは1730kgと約300kgも重たくなるのだが、WLTCモード燃費はT-Rocの18.6km/Lから、17.2km/Lと約9%の悪化に留まっている。
ティグアンの空気抵抗が特別低いのか、タイヤが超・低転がり特性なのか、はたまたディーゼルターボの功罪なのか、見事なものだ。
T-CrossやT-Rocとはうって変わったゆったりとした乗り味は、非常に大らかな印象だ。18インチタイヤを見事に履きこなし、同じ道での突起ショックや揺れもほとんど感じない。
一転、ハンドリングの鋭さは抑え気味で、やや鈍重さすらあるものの、室内の広さや快適なシートも合わさって、ミドルクラスSUVとしての立ち位置は、明確にキャラクターが立っている。
19インチタイヤになっても乗り心地の印象はさほど変わらないのは凄いことだ。ブラックに塗られたホイールも、直線を基調としたティグアンのデザインと、実にマッチしている。
多人数でロングドライブに出かけるならば、間違いなく、ティグアンを選びたくなる。雨でも雪でも、どこまでも走れそうな雰囲気があり、相棒として非常に頼もしいからだ。
ただし、550万円にも届く車両価格は、手を出すにはかなりの勇気がいるのも事実。国内ではあまり見かけないため、「通」には伝わる存在感が魅力の一台だ。
■お薦め度:ティグアンTDI 4MOTION Highline/84点、TDI 4MOTION R-Line BlackStyle/80点(100点満点)
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