■ガソリンNAでも不足を一切感じない加速パフォーマンス!!
まず、新開発の1.2Lの直3 NAエンジン車のライズガソリン Z 2WDから試乗した。今回の商品改良で、2WDについては、これまでの1Lターボから、この1.2L直3NAへと入れ替えとなったため、ロッキー/ライズのラインナップのなかでは、この1.2L、直3NAの2WDが最も売れそうな気がする。
ちなみに1.2Lガソリン車の価格は、Lが166万7000円、中間グレードのXが181万円、上級グレードのプレミアムGが205万8000円と、戦略的な価格設定となっている。
1.2L、直3NAエンジンは、以前1Lターボ車に試乗した時に感じた、あのパワフルなフィーリング(エンジンサウンドも含めてやんちゃだった)ではないが、流れの速い一般道でも、まったく不足のない加速パフォーマンスで、エンジントルクの出方がマイルドで扱いやすいのが特徴。
アクセルペダルを踏み込むと、「ガー」というエンジンサウンドがよく聞こえるのだが、ロードノイズが比較的静かなこともあって、このエンジンサウンドが「加速フィールの演出」という捉え方もできる。
今回試乗したグレード(Z)は、ガソリンの最上位グレードであったため、ACCとLKA、そしてオートブレーキホールド機能付き電動パーキングブレーキが標準装備となる。手動式のサイドブレーキがないことで、運転前後の負荷や信号待ちなどで負担が少なくなったことも好印象であった。
■路面をなめるようにスーッと進む感覚はとても気持ちいい!
続いては、本命のロッキーハイブリッド・プレミアムGの試乗だ。ハイブリッド仕様の訴求ポイントは、レスポンスの良い加速性能、高い静粛性、そしてカテゴリーTOPクラスの低燃費の3つ。
乗り込んで驚いたのは、車内に割と大きめに響くアイドリング音。シリーズハイブリッドモデルはエンジンが発電用で、駆動は電気モーター。
このe-スマートハイブリッドにおけるエンジンによる発電は、バッテリーのメモリーが「3」を切ると開始し、「5」になると止める設計のようだが、パーキング状態でも電力を消費するため、発電が始まることがあった。
ただ、街中のスタートストップを繰り返すようなシーンでは、モーター駆動のスムーズさと、クルマが軽いことでの軽快感が合わさって、とても気持ちが良い走りをする。路面をなめるように「スーッ」と進む感覚は、これまでロッキーにはなかった新しいドライブフィーリングだ。
スマートペダルモード時の回生ブレーキの効きは、現行ノートe-POWERと同じく「控えめ」だ。開発担当者によると、先代のノートe-POWERを参考にして作り込んだようだが、駐車時など、低速での扱いやすさを考えた結果、クリープを残した今の特性に落ちついたそう。
スマートペダルは、ステアリング右にあるスイッチでオフにすることも可能。回生ブレーキが「ガツン」と効く、ノートオーラNISMOのNISMOモードのようなものがあってもおもしろかったが、「誰でも扱いやすい」ことを優先した、ということだろう。
ガソリン車比で80kgほど車重は増えているが、ハイブリッドの補器類もコンパクトで、ガソリンタンク上に駆動用バッテリーをしまい込むなど、重量物を分散しているため、クルマの回頭性が鈍くなった、というような悪い印象は全く感じない。
相変わらずの軽快なハンドリングで、「元気で楽しいロッキー&ライズ」はハイブリッドモデルとなっても健在だった。
ただ、信号待ちと発進を頻繁に繰り返すようなシーンでは、バッテリー回生が間に合わず、エンジンによる発電が割と頻繁に行われる。
モーター駆動時の無音と、エンジン発電時のノイズの落差は、かつてE12型先代ノートのe-POWERで多く指摘されたことであったが、まさにその指摘がそのまま表われている、という状況だ。
アクセルペダルの踏み込みを増やすと、エンジンの「元気なサウンド」が盛大に車内へと侵入し、電動車だということをちょっと忘れてしまうほどであった。
ノイズ対策として、ダッシュサイレンサーの三層化やフードサイレンサーの遮音性向上、エンジンアンダーカバーへの吸音材の追加、遮音性能向上や制振材の改良は加えられている。
そうした効果は当然出ているのだろうが、E13型現行ノートe-POWERや、トヨタTHS-IIを搭載したヤリスクロスハイブリッドのような、ワンランク上の静けさと上質感と比較してしまうと、ちょっと気になるレベルだ。
ダイハツの担当者は、「さらにエンジンノイズを消し込むことはできるが、コストと性能のバランスを加味し、この仕様に決めました」と話してくれた。とにもかくにも、コスト至上主義のダイハツ。
取材の現場では、「乾いた雑巾を絞る」なんていう会話も聞こえたが、第一優先は「燃費」であり、ノイズの低減による「動的な質感向上」は、わかってはいるが、導入は困難だという。
対策を織り込んだぶん、販価を上げるか、販売台数が増えるのか、投資対効果が予測つかないものには、予算がつかない。音振対策はどうしても追加コストがかかるものだが、対応してくれたダイハツの担当エンジニアの表情が、悔しそうに見えたのは、印象的であった。
コメント
コメントの使い方