2021年12月に発売された新型三菱アウトランダーは、2022年1月23日までに9300台を受注して大きな注目を集めている。
そんなアウトランダーの公道試乗が実現した。全グレード標準搭載されるPHEVシステムに加えて先進的な4WDを搭載した最新SUVだが、そのパッケージングと走りを渡辺陽一郎氏にレポートしてもらった!
文/渡辺陽一郎、写真/池之平昌信、平野学
■大ヒット販売中の最新SUV
最近はSUVの売れ行きが好調だ。小型/普通乗用車に占めるSUVの比率は、2010年頃は約10%だったが今では30%に達する。2020年にはヤリスクロス、ハリアー、キックス、2021年にはカローラクロスやランドクルーザーという具合に、SUVの新型車も相次いで登場している。
この中でも特に注目される車種が、2021年12月に発売された新型アウトランダーだ。1月23日の時点で約9300台を受注した。三菱の国内店舗数は約550箇所で、トヨタの4600箇所に比べると、販売規模は約12%と小さい。そこも考慮すると、大ヒットといえるだろう。
新型アウトランダーのパワーユニットは、プラグインハイブリッドのPHEVのみだ。エンジンは主に発電を行い、駆動は前後に搭載されたモーターが担当する。高速巡航時には、エンジンがホイールを直接駆動して、燃費効率を向上させる制御も行う。
これらの機能は先代型と同じだが、新型はプラグインハイブリッドシステムやプラットフォームを大幅に刷新させた。プラットフォームは、2022年中に発売される次期エクストレイルと共通になる。
そこで最上級のPを試乗した。荷室に3列目のシートを装着する7人乗りだ。
ボディサイズは全長が4710mm、全幅は1860mmとワイドで、全高も1745mmになる。ダイナミックシールドと呼ばれる独特のフロントマスクは存在感が強い。ヘッドライトのロービームとハイビーム、フォグランプは、左右とも上から順番に縦向きに配置されている。
最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)は200mmで、床は前輪駆動ベースのSUVでは少し高いが、乗降性に不満が生じることはない。
運転席に座ると、前方視界は良好だ。しかしボディ後端のピラー(柱)が太めで、斜め後方の視界は良くない。ボディがワイドで最小回転半径も5.5mと若干大回りだから、購入する時には縦列駐車などを試したい。
インパネは水平基調のデザインで広がり感があるが、着座位置に対して上端が少し高く、ユーザーによっては圧迫感が生じる。
内装は上質だ。インパネの中央から左側には、柔らかいパッドが入り、ステッチ(縫い目)も施した。ATレバーが収まるセンターコンソールにもアルミが使われ、ドライブモードのダイヤルスイッチもていねいに造り込んだ。
前席の座り心地は少し硬いが、腰から大腿部を確実に支えて長距離を移動する時も疲れにくい。背もたれは腰を包む形状で着座姿勢が乱れにくく、腰の張り出しを調節する電動ランバーサポートも備わる。
2列目シートは座面にボリューム感が伴い、柔軟に受け止める。背もたれと座面のサイズにも余裕を持たせた。
身長170cmの大人4名が乗車した場合、2列目のスライド位置を後端まで寄せると、2列目に座った乗員の膝先空間は握りコブシ2つ少々まで拡大する。先代型に比べるとスライド機能を変更して、膝先空間を拡大した。
ただしこの状態では、3列目に大人が座ることはできない。3列目に身長170cmの大人が座るには、2列目のスライド位置を大幅に前側へスライドさせる必要がある。1列目から3列目までの乗員間隔は、先代型と同じで、新型になっても拡大されていないからだ。
そのために身長170cmの大人6名が乗車すると、2/3列目に座った乗員の膝先は、前席の背面に触れてしまう。両席とも窮屈になる。特に3列目は頭部も天井に触れるから、補助席と考えたい。それでも片道15分程度の距離なら、多人数乗車も可能だ。自宅から駅までの送迎などでは便利に使える。
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