スバル4WDの走りは電気自動車でも健在!! 新型ソルテラを雪上で試す!!

■ソルテラはパドルシフトを採用

車内の基本的な造りはトヨタ bZ4Xと共通。大きな違いとして、ソルテラにはパドルシフトが装備される
車内の基本的な造りはトヨタ bZ4Xと共通。大きな違いとして、ソルテラにはパドルシフトが装備される

 ソルテラの車内に入ると、メーターが奥まった高い位置に配置されており、独特の立体感を持っている。着座姿勢などにより、メーターパネルがステアリングホイールの陰に隠れそうになることもあるが、開発者は「速度など大切な表示は、常に見えるように配慮した」という。

 車内の基本的な造りはbZ4Xと共通だが、ソルテラにはパドルシフトが備わる。エンジン車のパドルシフトはエンジンブレーキの度合いを調節するが、電気自動車では機能が異なる。減速エネルギーを使って発電を行い、駆動用リチウムイオン電池に充電する回生の度合いを調節するからだ。

 そしてソルテラでは、Dレンジの状態でパドルシフトをプラス側に操作すると、コースティングによる走行も可能にした。この時には走行抵抗が大幅に減り、回生による充電がほとんど行われない代わりに、アクセルペダルを踏まなくても惰性で滑らかに走っていく。

 一般的に電気自動車では、アクセルペダルを戻すと同時に、強めの回生と減速を開始する「ワンペダル運転」が注目される。ソルテラもスイッチ操作でこの制御を行えるが、コースティングを可能にしたことも特徴だ。この点について開発者は次のように説明した。

 「回生による充電では、回生に伴う一定のロスも発生する。従って緩やかな下り坂を走り続ける時などは、回生を行わずにコースティングを使った方が燃費効率が向上する」という。

 それならアクセル/ブレーキペダルを頻繁に踏み換える街中以外では、積極的にコースティングを使うと良いのではないか?

 電気自動車ならブレーキペダルと回生の協調制御が行われ、ブレーキペダルを踏んでも、実際にはディスクブレーキを作動させずに回生量を増やして減速することが多い。

 常にプラスモードで走れば、コースティングと、ブレーキ操作による回生充電のメリットを両方とも十分に発揮させられる。この点も開発者に尋ねると「私もそう思う」と返答された。

■パドルシフトの採用でより多彩なドライブモードに対応

パドルシフトの採用は路面状況が刻々と変化する雪道などでの走行に便利だ
パドルシフトの採用は路面状況が刻々と変化する雪道などでの走行に便利だ

 このようにソルテラは、パドルシフトの採用で、エコドライブの方法を広げた。その点でbZ4Xは、Dレンジと、アクセルペダルを戻した時に即座に強めの回生を開始する回生ブーストモードの2種類しか選べない。

 開発者は「トヨタさんもパドルシフトを採用しないのか、数回にわたり確認を取ったが、結局は装着しなかった」と語った。

 そこで路面状態がデリケートな雪道を試乗すると、パドルシフトは使い勝手が良い。下り坂の度合いやカーブの曲がり具合に合わせて、減速の仕方と回生による充電状態を細かく調節できるからだ。

 bZ4Xと同じく、アクセルペダルを戻すと同時に速度を下げる回生ブーストモードも装着され「ワンペダル運転」も行える。これも試したが、アクセルペダルを戻した時の減速度を選べるパドルシフトはメリットが大きい。bZ4Xに対するソルテラの優位性を感じた。

 動力性能はbZ4Xと同様に力強い。モーターの特性として、アクセルペダルを踏み増すと、駆動力を即座に高める。感覚的には3.5~4Lのガソリンエンジンに匹敵する性能だ。モーター駆動だから、加速は滑らかでノイズもきわめて小さい。

 ソルテラは駆動用リチウムイオン電池を前後輪の間に位置する床下に搭載したから、重心が低く、雪道における走行安定性も優れている。

 4WDの車両重量は2トンを超えるが、カーブを曲がる時もボディの重さを意識させない。安定性を乱すムダな動きが生じにくく、操舵角に応じて正確に曲がる。旋回軌跡を拡大させにくく、ステアリングホイールを若干切り込みながらアクセルペダルを踏み増すと、車両を内側へ向けやすい。

 この運転しやすさの背景には、進化した4輪制御技術がある。アクセルペダルを踏みながらカーブを曲がる時でも、必要に応じてブレーキを自動的に作動させ、ステアリング操作に忠実に曲がるように制御する。

 特に電気自動車では、4輪制御技術の効果が一層高まる。モーターはエンジンに比べて、駆動力の増減を機敏に行えるからだ。これらの相乗効果により、ソルテラの4WDは車両重量が2トンを超えるのに、1400kg前後に軽量化したような運転感覚を味わえた。

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