新型アルカナからルノーは変わる!? ハイブリッド大国日本でルノー独自の電動モデルはどう評価される?

■なぜアルカナを第一号モデルに!? フルハイブリッド戦略の勝算は!?

「新開発の『E-TECHハイブリッド』を最初に搭載するのは、このアルカナこそが相応しいと考えた」と、ルノージャポンの小川隼平副社長
「新開発の『E-TECHハイブリッド』を最初に搭載するのは、このアルカナこそが相応しいと考えた」と、ルノージャポンの小川隼平副社長

 試乗は良好な印象で終えたのだが、この手の新ジャンルのクルマが日本市場でヒットするのかは気がかりだ。

 なぜE-TECH搭載第一弾をメガーヌやキャプチャーにしなかったのか、なぜコストの安いマイルドハイブリッドを持ってこなかったのか、ルノージャポン副社長小川隼平氏(元・日産でEV戦略を担当していたエキスパート)へ、率直に聞いてみた。

 小川氏によると、ルノージャポンは、ルノー・スポールブランドをウリにした戦略を長年行ってきており、ルーテシアやメガーヌなど、R.S.モデルを筆頭にブランドを確立することはできた、という。

 とはいえ、昨今のカーボンユートラル時代に応えるにはこれまで通りではダメで、変わっていかないと、ルノーは日本市場で生き残ることができない。

 その変わるための新たなチャレンジとして「アルカナ」を投入し、新開発の「E-TECHハイブリッド」を最初に搭載するのは、ルノーの変化を象徴するこのアルカナこそが相応しい、と考えたそうだ。

 ルノーのウリであるハイパフォーマンスな内燃機関モデルは、今後減らさざるを得ないだろう。小川氏の言葉からは、アルカナ発表という華々しい場にはふさわしくない、「変わらないと消滅する」という危機感すら感じられた。

 いま日産とルノーの関係は、お互いがリスペクトしあっており、以前ほどは悪くない(小川氏)という。

 それならば、なぜ日産のe-POWERを共用しなかったのか(キャシュカイやエクストレイルなど、欧州の高速走行にも耐えうるユニットがあるにもかかわらず)という疑問もあるが、そこはルノーのプライドなのかもしれない。

 独自のE-TECHの先陣を切るアルカナには、日本市場の反応を探るといった目的があるのだと考えられる。

■ルーテシアなどハイブリッドモデル続々投入予定!

ヨーロッパでは期待を上回る人気のアルカナ。2021年は約4万台を販売した
ヨーロッパでは期待を上回る人気のアルカナ。2021年は約4万台を販売した

 冒頭で触れたように、アルカナは、2021年3月の欧州での発売以降、期待を上回る人気で、2021年の約4万台という販売台数は、ルノー車のなかでは、メガーヌ(2021年の欧州販売台数:約7万台)やトゥインゴ(約6万台)に次ぐ販売台数だ。

 欧州市場では、環境性能が極めていい電動車が大いに受けているそうで、コストは高くても、積極的に電動車が選ばれるようになってきているという。

 この独特なアルカナが、日本市場で欧州と同様にヒットするかは未知数。独特なエクステリアは、控えめな性格の人が多い日本人には敬遠される可能性がある。

 それに日本市場はまだ、欧州ほど「高くても電動車が売れる」という状況にはないうえ、トヨタ、日産、ホンダを中心とする国産メーカーのストロングハイブリッド車は、現時点で世界一といえる完成度を誇っている。わざわざアルカナを選ぶ理由は少ないように思う。

 だが、アルカナはこれら国産メーカーたちとガチンコで戦う必要はない。まずは既存のルノーファンへ確実に新型のルノー車を届け、そのファンに、ルノー車ならではの「凄み」と「感動」を味わっていただくような戦略が適しているように思う。

 「量より質」に向かうのが、いまのルノーに求められていることなのではないだろうか。

 その上で、E-TECHを搭載した次なる一手が早くみたいところだ。E-TECHには、さらに高性能なプラグインハイブリッド仕様もある。

 ルーテシアやキャプチャー、メガーヌなど、本命のルノー車にプラグインハイブリッドが搭載されて日本導入された時こそ、ルノーの躍進が始まるのかもしれない。ルノーの今後に期待している。

【画像ギャラリー】アルカナの内装に注目! ハイブリッドでもルノースポールの世界観は生きていた!!(12枚)画像ギャラリー

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