新型アルカナからルノーは変わる!? ハイブリッド大国日本でルノー独自の電動モデルはどう評価される?

■R.S.ラインらしさ全開!! 内外装の質感は高いがセンターモニターのサイズは少々不満

インテリアは黒を基調としながらも、各所に入れられたレッドラインがスポーティな印象。インパネ中央のタッチスクリーンはちょっと小さいか!?
インテリアは黒を基調としながらも、各所に入れられたレッドラインがスポーティな印象。インパネ中央のタッチスクリーンはちょっと小さいか!?

 アルカナをひと目みた印象は「車高を上げたハッチバック」だ。最低地上高は200mmもあるため(エクストレイルと同じ)、SUVといわれればそうなのだが、セダンのような上屋のクーペSUV、というのは見たことがない。

 ただ、ルノーお馴染みのCシェイプのLEDヘッドランプとテールランプ、フロントバンパーの端にはエアディフレクターも付き、前後フェンダーやサイドシル下にも樹脂ガードを備えた佇まいで、ルノー好きの所有欲は十分に満たされるであろう。艶やかなバレンシアオレンジのボディカラーが実に眩しい。

 インテリアは、ルノー・スポール由来の「R.S.ライン」らしく、黒を基調としながらも、各所に入れられたレッドラインがスポーティな印象を与えてくれる。カーボン柄のダッシュボードも質が高い。

 10.2インチのフル液晶メーターの視認性はよいが、インパネ中央最上段にあるタッチスクリーンが7インチというのは、(欧州版には9.3インチの縦型 タッチスクリーンがあるのに)429万円という車両価格を考えると寂しい。ルノー担当者も苦笑いをしていたので、この点についてはこれ以上触れずにおこう。

■メカニカルサウンドはさすがF1のルノー!!

異音もなく滑らかに作動するトランスミッション。減速時にシフトダウンをすると時折聞こえる「カシャ」という音が逆にメカっぽくて良い
異音もなく滑らかに作動するトランスミッション。減速時にシフトダウンをすると時折聞こえる「カシャ」という音が逆にメカっぽくて良い

 プッシュスタートボタンを押しても、発進時は100%モーター駆動なので、当然エンジン音は無い。ゲート式シフトをDレンジに入れ、ブレーキをリリースすれば、スルスルと無音発進する。

 初期のころのDCTのように、盛大なメカニカル音がするかと懸念していたが、異音もなく滑らかに作動するトランスミッションの印象は、国産ストロングハイブリッドと何ら変わりない水準で、緩加速から強めの加速まで、スムーズに変速していく。

 シフトチェンジは素早く、低いギアで引っ張ることも少なく、次々に変速していくのは期待通り。減速時にシフトダウンをすると、「カシャ」という音が聞こえるシーンもあるが(ドッグギアが噛みあうときに鳴る音と推測)、そのサウンド自体もF1由来といわれれば、納得できる。

 メカが好きなドライバーであれば、こうしたメカニカルサウンド(ノイズではない)は結構、好きな音なんじゃないだろうか。MY SENCEモード(初期設定)から、出足の加速が強まるSPORTモードや、燃費重視のECOモードもそれなりに可変するので、用途に応じて使い分けができそうだ。

 今回の試乗コースは登坂が多かったため、エンジンが頻繁に始動し、加速と充電を繰り返し行っていたが、その際、エンジンの音と振動がキャビンへと伝わる。

 そのため、同じCMF-Bプラットフォームを使っているノートe-POWERのような電動車感はない。ノートにはある「ヒューン」といった電動車サウンドが、アルカナにはないことも影響しているのかもしれない。

 ハンドリングや直進性は良好で、視界も良く、運転はしやすい。クムホの18インチタイヤ(215/55R18 KUMHO ECSTA HS51)を装着していたが、段差の突き上げも少なく、後席でも快適な乗り心地だ。

 後席空間は、外見から受ける印象の通り、頭上は狭い(コブシ1個未満)が、膝前はコブシ2個入る程度のスペースはある。シートバックの角度がやや立ち上がっているので、窮屈に感じるのだが(背もたれの角度調節機能はない)、多人数で移動する用途のSUVではないので、問題にはならないだろう。

 ただし車高が高い上にサイドシル段差も高いので、乗り込む際に、他のクルマよりも少し高いところまで足を持ち上げる必要があるのは、気になった。

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