■軽ターボの2倍の最大トルク!! バッテリー冷却システムも
ボディサイズはデイズとほぼ同じだが、全高は15mm高く、最低地上高は10mm下がり、145mmとなっている。20kWhバッテリーを床下へ搭載するため、車高を15mm上げたそう。
元々スペースが少ない軽用プラットフォームの床下へ、自在に高さを変えられるユニバーサルスタックを、効率よくみっちりと搭載している。そのおかげで、元のフロア面高さを維持し、車室内広さはそのままにできたそうだ。最小回転半径も4.8mを維持しており、小回り性能も問題ない。
前述したとおり、バッテリー容量は20kWh、航続距離は最大180km(WLTC走行モード)。最高速度は130km/hで、普通充電の場合は8時間で残量警告~100%となり、急速充電の場合は約40分で警告灯点灯~80%まで充電が可能。
なお、エアコン冷媒を用いたバッテリー冷却システムも備わるので、バッテリーが温まった走行直後の継ぎ足し充電でも、充電量低下を低減できるのは、グッドニュースだ。
■ガソリン軽のネガティブな部分が一気に解消された、サクラの力強さ
■サクラとデイズの最高出力、最大トルク比較
・サクラ=47kW(64ps)/195Nm(19.9kgm)
・デイズターボ=47kW(64ps)/100Nm(10.2kgm)
駆動用モーターは最高出力47kW(64ps)、最大トルク195Nm。一般的な軽のターボエンジンと比べて最大トルクが約2倍にもなる。
しかもモーターの特性上、初動から最大トルクを発揮するので、軽のもっさり感が一切ない。詳しくは後述するが、軽にBEVの組み合わせは、最高に相性が良い。これこそが「軽のゴール」だと筆者は感じた。
試乗会場は、追浜の日産GRANDRIVE。長い直線路やアップダウンのある複合コーナー、路面突起が付いた直線など、路面種類は多々ある。
だが当日はあいにくの雨天で、路面は完全ウェット。だが、ルーフを打つ雨音や水を跳ね上げるスプラッシュ音など、音振性能の出来栄えも良く分かる条件であった。ちなみに筆者の実家では現行デイズを所有しており、しばしば運転している。
まずは、30km/h以下の低速から。ノートやアリアと同じ電動シフターでDレンジへ入れ走り始める。ステアリングを回していくと、操舵力は軽めで、回転半径が非常に小さいことが分かる。
ハンドルの直径や太さは適切で、手の小さい方でも馴染みやすいサイズだろう。タイヤが数回転転がると、サクラの車内が非常に静かなことが良く分かる。お腹の下には20kWhのバッテリーが積まれていることもあり、軽ガソリン車と比べてどっしり感が増している様子もある。
続けて車速60km/hにまで加速をすると、モーターの力強さに驚かされる。このトルクの太さは、ワンランク上のコンパクトカー、ノートe-POWERで加速をしているような感覚だ。
思わず加減速を繰り返し、その加速性能の高さを何度も味わったほど「気持ち良い加速」をしてくれる。軽自動車のネガな部分が、一気に解消されている。
100km/h程度まで車速を上げても、加速度は鈍らない。流石に風や雨の影響を受けて、ボディの縦揺れや風切り音、ロードノイズを感じるようになったが、走りの安定感は軽自動車のレベルではなく、上級コンパクトカー並みだ。
ドライブモードはEco/Standard/Sportと3つのモードがあり、踏み始めの加速度が強くなる。1名ならばECOで十分、3名乗車だとSTANDARDが丁度よい。e-Pedal Stepの特性は、減速度が強めのセッティングとなっているので、お好みでオン/オフを選べばよいだろう。
終始、落ち着きのある走り心地で、軽を越えたと日産が力説するのも理解できる。
このメカニズムについて、日産オートモーティブテクノロジー・車両実験部第三車両実験グループ主管 永井暁氏に尋ねたところ、お腹の下に積み込まれた動力用バッテリーの低重心化の恩恵に加えて、アンダーフロアへバッテリーを支える補強の梁を追加したことや、リアサイドメンバーを追加して強固なリアセクションとしたこと、モーターを載せているユニットメンバーを新設して、慣性主軸(揺れの中心軸)の直上でマウントし、上下振動を最小化したこと、3リンク式のリアサスペンションを採用したことなど、多々の改良を行ったことが効果的に効いている、とのことだった。
開発段階では、公道試験で箱根のターンパイクを貸し切って走り回ることもしたそうだ。サクラのテストカーは、4名乗車であってもストレスなく、登り降りをこなしたという。軽ガソリンでは辛いシチュエーションでも、ストレスなく走れるなんて、早くその実力を公道で試してみたいと思った。
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