DNGAの採用と新開発のFR用CVTが注目ポイント
新型アトレーは、先代の乗用モデルだったアトレーワゴンから、4ナンバーの商用車化により、商用車ならではの広い室内空間と最大積載量350kgを手に入れた。同時に家、職場に次ぐ自分だけの「第三の居場所」と目指して進化。乗用車感覚の装備や質感にこだわった内外装デザインを採用しているのが特徴だ。
アトレーの最大の魅力は荷室だ。タイヤのホイールハウスの出っ張りがなく、上下左右目一杯の開口幅を確保。また、スクエアな空間により高い荷物の積載性を実現。ダブルフォールディング機構により、セカンドシートを収納すると、フラットな床の荷室は最大化する。
さらに、サーフボードなど汚れたアウトドアグッズを積んでも手入れしやすいイージーケアマットをはじめ、様々な荷物の取付や固定に便利な荷室ナット(ユースフルナット)とマルチフックを設定するなど、ユーザーの使い方に合わせてアレンジ可能だ。
搭載するパワートレインは従来のターボエンジン+4速ATからターボエンジン+FR専用CVTに変更されている。実走行の燃費性能も今回は街乗り中心で14.0km/Lと上々の数値を実現した。
ただ、試乗して気になったのは、荷物をたくさん積む商用車でもスムーズな発進ができるようにと、発進時にアクセルペダルを踏むと一気に3,000回転まで回り、そこから回転数が下がるチューニングがなされている。
この一気に3,000回転まで回ることによりCVT特有の空走感をすごく感じること。そしてエンジンノイズが車内に侵入してくるのが気になった。また、荷物を搭載していないこともあり、リアサスペンションに落ち着きがないのがややマイナス点。
そして、高速道路でアダプティブクルーズコントロールを作動させると、やや直進安定性に不安があり頻繁にステアリングの修正が行われたことが印象に残った。
N-VANオーナーも唸った使いやすさを具現化したアトレーの荷室空間
商用車化したアトレーのライバルとして挙げられるのがホンダN-VAN。今回は車中泊をN-VANで楽しんでいるオーナーの羽田さんにアトレーをチェックしてもらった。
羽田さんは映像クリエイターの傍ら、星空などの撮影を趣味としている。N-VANはそのベースキャンプとして購入し、車中泊などを行っており、N-VANの車内も独自で使いやすいように改良されているのだ。
N-VANオーナーの羽田さんが、アトレーの良い所として挙げてくれたのは、スクエアな開口部と出っ張りのないラゲッジルームだ。
開口部の低さはN-VANも負けていないが、ホイールハウスの出っ張りがあるため、その出っ張りがないアトレーのほうが使いやすそうと話す。また、開口幅が一定で非常に使いやすそうだということで高い評価を与えていた。
そして、身長178cmの羽田さんがN-VANで車中泊する際は、助手席も格納して寝るという。しかし、アトレーは運転席&助手席を一番前までスライドすれば何とか178cmの羽田さんが2人横になれる長さのスペースを確保しているのはスゴイと言っていた。
一方、アトレーよりN-VANが優れているのは、静粛性の高さだという。発進時のエンジン回転数の上昇によるノイズはかなり気になるとのこと。そして、やはり助手席側のピラーインスライドドアによる大開口幅を上げてくれた。
そして、最後にN-VANは低床のプラットフォームを採用しているので、折り畳んだセカンドシートにしっかりと腰を下ろせるのに対して、アトレーはキャブオーバーのため、床面が高く、折り畳んでも腰が浮いた状態となってしまうそうだ。
4ナンバー化によって自分の好みどおりに仕上げる楽しさを獲得したアトレー。ライバル車N-VANと比較すると、ややN-VANに分があると言えそうだ。
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