■ショートホイールベースのネガを2車はどう消すか?
(TEXT:小沢コージ)
なぜか欧州でZ4に、スープラプロトに袖ケ浦で乗れたレアな小沢。両車に乗ったのは数人? ってんで勝手に証言しちゃおう。
ぶっちゃけコイツらに勝ち負けはない。いまどき純粋スポーツカーを作るのが大変で生まれた折半コラボ。どっちも売れなきゃ困る。
勝手な想像だがトヨタはお金とプランニングに口を出し、BMWはトヨタから請け負う形で両車のプラットフォームを作ったはず。
技術はBMW、アイデアはトヨタ。いわばトヨタがスバルと86&BRZを、ダイハツとパッソ&ブーンを作ったのと同じ構図だ。
骨格は同じだし、生産もオーストリアのマグナシュタイヤー。違うのは走りの味つけ。スタイルは個人的にはスープラのほうが面白い。
フォーミュラマシンみたいなノーズのクッキリ感が予想より薄まってるがそれでもド迫力。マジでリアルバッドマンカーかと思った。
特にツヤ消しの黒かなんかにすると新型スープラは相当カッコいい。かたやZ4もカッコはいいけど、ギリシャ彫刻みたいだった初代、2代目に比べて雑な線も多い。
インテリアはインフォテイメントが売り。おそらく新型3シリーズにも付く新世代「オペレーティングシステム7」搭載。
センターパネルが10.25インチとデカく、今までBMWがかたくなに守っていたアナログ調メーター類もフルデジタル化。
スマホのようにNAVI(ナビゲーション)、CAR(車両)、MEDIA(メディア)、APPS(アプリ)、COM(通信)の5メニューを自在に操れるシステム。
とはいえここはトヨタが新しい通信ソフトとかをブッコンでくるかも? ゲームのグランツーリスモなんかと連動してバーチャルレースができるかも? なんて話も実はある。
ちなみにシフトノブ、エアコン吹き出し口、そのほかはスープラ、Z4でまったく同デザイン。
肝心の走り味だが両車ともに最高峰の3L直6ターボ+8速ステップトロニックに乗った。Z4のスペックは340ps/500Nm(51.0kgm)で、スープラもおそらくほぼ同じ。チューニング違いまでは確認できず。
一般道で乗ったのはZ4だけだが、乗り心地が異様にいい。もっとスパルタンに仕上げてくるかと思ったが街中ではステアリングも軽く、フラストレーションなし。
ただし、これは両車ともに効いてくるが300psクラスにしては2.5mを切るホイールベースは異様に短い。ついでに1.6m弱のトレッドも長い。
ステアリングフィール自体はBMWらしくしっとりだが、切ったとたんノーズが動く感じはトヨタiQにも近いレベル。メチャクチャ一体感アリ。
それはワインディングに行くと顕著でZ4はやたらよく曲がるし、常に異様なほどニュートラルステア。
ズバリ超楽しい! 実はBMWとのコラボの核心は、トヨタの原理主義的ショートホイールベースで作ったBMW風味の大人のリアルスポーツ。楽しくないわけがない。
ただし雨のサーキットで乗ったスープラプロトはZ4より若干ハンドル重めで同様に楽しかったが雨で滑った時の挙動は激しい。
ショートホイールベースの回りすぎを味つけとデバイスでどう抑えるか。両車のキモはここだと思う。
【BMW Z4 M40i スペック】
最高出力:345ps
最大トルク:51.0kgm
0-100km/h加速:4.6秒
【スープラ RZ スペック】
最高出力:340ps
最大トルク:51.0kgm
0-100km/h加速:4.3秒
両車とも現段階で日本国内での価格が発表されておらず、スープラより100万円前後高くなりそうだ。
ちなみにアメリカではスープラの3Lモデルが4万9990ドルから5万3990ドル(約548万円~約591万円)となっている。
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