グローバルの大手自動車メーカーでは最もEVに積極的とされるボルボ。先日、最小SUVのEX30を日本でも発表したが、そのEX30をスペイン・バルセロナの公道で試乗してきた国沢光宏氏がレポートする。
文/国沢光宏、写真/国沢光宏、ボルボ
■EV戦略に積極的なボルボの尖兵となるEX30
今や電気自動車といえば、リーズナブルで優れた電池を作れる中国と韓国が優勢になってきている。
自動車用の電池を作る技術、半導体や液晶に近いという。どちらも中国や韓国が圧倒的に強い状況を見ると、性能面&コスト面での優位性は今後しばらく高いままだと思う。世界に先駆けてカーボンニュートラルを宣言した欧州ながら、いかんせん電池で遅れを取ってしまった。
一方、車体作りの技術や安心感という点で中国は信頼性を確立できていない。日米欧市場のいずれも中国製の電気自動車を積極的に買おうというアーリーアダプターは少ない傾向。
韓国は日米欧と勝負できる車体技術を持ち、すでに欧州COTYを受賞するなど好調に売れている。ヒョンデは日本に再上陸してきたが、ブランドイメージを作り上げるまでにもう少し時間がかかると思う。
そんななか、ボルボが興味深いポジションにある。車体の開発は依然としてスウェーデンのボルボ本体で行っており、電池は先行する中国と韓国から調達する契約を早々と締結。さらに「2030年までにすべてのボルボをEVへ」と宣言した。エンジン車を作ってきた大手メーカーで最も積極的と言っていい。
■運転席での腰高感はないEX30
長い前置きになった。ボルボの世界戦略車EX30である。そのボディサイズは全長4235×全幅1835×全高1550mm。最高出力272ps/最大トルク35.0kgmのモーターを搭載する。
今までもエンジン車をベースにしたC40リチャージ(全長4440×全幅1873×全高1591mm、価格699万円~)という電気自動車をラインナップしており、順調に売れているが、EX30は新世代の電気自動車用専用プラットフォームを使う。
そのメリットを挙げると「最適化&コストダウン」にあると思う。電気自動車なら床下に電池を載せ、前後に駆動系や補機類を配せばいい。大きなラジエターや意外に場所を取る燃料タンクも不要。
エンジン車をベースに作った電気自動車は過渡期なんだと思う。EX30の運転席に座ると、過渡期の電気自動車と違い、ドライビングポジジョンが自然。腰高感もなし!
さらにインパネもガソリン車と異なり、12.3インチの縦長液晶がセンターにあるだけ。ドアミラーの調整まで液晶画面で行う。物理スイッチに慣れていると少し戸惑うかもしれないけれど、電気自動車はエンジン車より多機能だ。
ハンドルの重さなど車体関係や、回生量に代表される電気系、運転アシストを行うADASまで調整可能。スマホのような階層ディレクトリを使わないと、スイッチが山ほどある航空機のコックピットのようになってしまう。最初からすべて覚えることなど難しいので、必要な操作からマスターしていけばいい。
ということでインテリアの「景色」すらエンジン車と違う。
コメント
コメントの使い方EVでもボルボの味わいが健在で嬉しいです。以前XC60を所有していましたが、ヒューマンタッチな内装(白木のセンターコンソールや皮と金属のステアリング)と、当たりがソフトでよく粘る足回り。優しくも頼もしい世界観が統一されていて乗っていてとても癒される車でした。安全性に優る物理スイッチを廃止してわき見運転となるタッチスクリーン操作へ統一してしまったのは残念ですが。機会があれば乗ってみたいですね。