■パワーユニットに加えMI-PILOTがドライバーの負荷を軽くする
じっさい、音羽の編集部から中央高速談合坂SAあたりまではEVモードで余裕で到達可能というくらいアウトランダーPHEVのEV航続距離は伸びている。今回は急ぎ旅だったから、バッテリーを使い切った後はハイブリッド走行で目的地を目指したけれど、SAごとに30分急速充電しつつノンビリ行くのもお好み次第というわけだ。
最近のバッテリーEVは100kWh近い大容量電池を搭載するクルマもあるが、そういうケースでは高出力充電器のインフラが整備されないと宝の持ち腐れだが、バッテリー容量20kWhならCHAdeMOの低出力充電器(MAX40kW)でも30分で8割程度はチャージ可能。
バッテリーEVでカタログ航続距離を達成するには綿密な充電計画が必須だが、同じEV走行でもPHEVは「どこか次の充電スポットがあったら」とアバウトでOK。この「気ままに何処へでも」というのがクルマ本来の魅力だし、それを走行時CO2排出ゼロと両立できるのがPHEVの魅力だ。
それにしても、EV走行中のアウトランダーPHEVの静粛なクルージングは、プレミアムSUVそのもの。エンジンノイズが無くなるぶん、電動車両はタイヤからのロードノイズや風切り音が目立つものだが、この辺りのノイズコントロールはお見事。静粛性に関しては旧型アウトランダーPHEVやエクリプスクロスPHEVもなかなかの優等生だったが、新型アウトランダーPHEVは明らかにその上を行っている。
このモデルから、アウトランダーPHEVのADAS(先進運転支援システム)は日産と共通化。プロパイロットの三菱版であるマイパイロット(MI-PILOT)が装備されている。そこで、高速道路ではボタンひとつで設定できるレーンキープアシスト付きのACCに任せて、楽ちんクルージングに徹してみた。
エンジンが回り出してハイブリッド走行に切り替わっても、そもそもクルージング状態ならそのノイズはほとんど気づかない程度。これが、アクセル操作が機械任せのACCだと、ますますエンジンの存在感が希薄で、正直いつエンジンがON/OFFしているのかほとんど判別不能。
遅いトラックを追い越す時など、ドライバー自身がアクセルを深く踏み込んでエンジン回転が上昇した時だけは、ウァーンという内燃機関特有の唸りを発して「あ、エンジンが回ってる」と実感するのだが、それ以外ではもっともエンジンの存在を意識させないクルマ。そういっても過言ではない。
■一般道では2tの重量級SUVながら軽快さを見せつける
諏訪南ICから女神湖までは、アップダウンの続く信州の峠道。路面は決してスムーズとはいえないが、アウトランダーPHEVはの走りは快調だ。
乗り心地に関しては、サーキットでの第一印象より硬めと感じたが、路面の細かい凹凸をまず期待どおりに吸収してスムーズに走る。
欲を言えば、車重2トンに達する重量級ボディのわりに、ザラザラ路面のノイズを伝えがちなのが惜しいが、そのぶんハンドリングは車重を意識させない軽快なもの。一般道をちょっと飛ばした程度でも低重心がもたらす安定したコーナリングフォームとS‐AWCによる安定した4輪トラクション制御がイイ仕事をしているのを感じ取ることができる。
狙ったラインを正確にトレースしやすい軽やかなハンドリングと、モーター駆動ならではのトルクフルな走りがあいまって、ワインディングでは水を得た魚。ついついペースが上がって気がついたらはや目的に到着というファンな走りを楽しむことができた。
結論として、アウトランダーPHEVはサーキットでの第一印象そのまま、プレミアムSUVならではの「イイもの感」にあふれた魅力的なクルマに仕上がっているといっていい。
カーボンニュートラル への対応という意味でも、実用性とCO2削減の両立においてPHEVは現時点でのベストソリューション。その日本代表選手が、この新型アウトランダーPHEVと言ってイイんじゃないかな。
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