初代ロードスター&初代セリカ 旧車用タイヤADVAN Type Dで疾る!!


かつて多くのスポーツカーユーザーが憧れた歴史的ヒットタイヤ「ADVAN HF Type D」が、2017年10月に復刻発売された。主なターゲットは旧車・ヒストリックカーユーザー。1970年代〜80年代に活躍した名車に合うタイヤとして、現在のヨコハマタイヤの技術力を注入して開発された。

そんな注目のタイヤを、初代ロードスターオーナーである自動車ジャーナリスト橋本洋平氏が徹底解説。製品の特徴を紹介するとともに、まさにターゲット層ど真ん中の初代セリカと自らの愛車・初代ロードスターに実際に履かせて、群馬サイクルスポーツセンターを疾走していただいた。

気になっていた人も、そうでない人も、まずはこの「旧車をターゲットにしたスポーツタイヤ」の実力をまずは感じてほしい。

文:橋本洋平 写真:平野学


■旧車ユーザーには選択肢がほとんどなかった

いまや日本の自動車文化も成熟してきたのか、古いクルマを大切にしようという人々が多くなってきた。それはややブームとなりつつあり、いまや旧車は値段が跳ね上がるばかり。それに目を付けた自動車メーカーも、保存されるクルマが多いようであれば部品の供給を再開するなど、様々な動きが開始されている。

今回取材の協力していただいたのは、初代セリカオーナーズクラブの皆さん。旧車オーナーにとってタイヤ問題はかなり切実な話。現代のタイヤでスポーツモデルを選ぶと、グリップが強すぎてボディが歪んでしまうとのこと。そうなるとエコタイヤを選ばざるをえず、それだとスポーティ感が失われる、というジレンマがある。それを解決するのがADVAN HF Type Dなのだという

だが、いくらクルマが保存できる状態になりつつあるとはいっても、最後まで問題が拭えないのがタイヤだった。特にスポーツカーの場合、現代のスポーツラジアルタイヤを装着すると、クルマが負けてしまう。タイヤのグリップがそれほど高くない時代に生まれたクルマたちは、足回りもボディも弱い。

旧車から見れば、現代のスポーツラジアルタイヤは、当時のレーシングスリックに匹敵するほどのグリップがあるといっても過言ではないだろう。

そこで行き着くのが今の時代にしてはグリップの低いタイヤということになるのだが、今の時代に見渡すとそういうタイヤはエコやコンフォート性能を目指したものが多く、スポーツタイプの旧車にそれを装着すれば、走行フィーリングで見劣りする場合がほとんど。ステアリングを切った瞬間の応答が悪く、しかも見た目もイマイチだったりするわけだ。

せっかくの旧車も、これでは台無しである。

そんな問題を打破するために誕生したのが、ADVAN HF Type Dだ。

今回は初代セリカ2台、初代ロードスター1台にADVAN HF Type Dを履いてもらい、自動車ジャーナリストの橋本洋平氏(写真右)にチェックしていただいた。写真左は初代セリカオーナーズクラブ所属、千葉県船橋市で「リペアスタジオ イチロク」を営む伊藤一郎氏、写真中はこちらも初代セリカオーナーの綾花さん

横浜ゴム創立100周年を記念して昨年復刻されたこのタイヤは、かつて走っていた人々にとっては涙モノの逸品。

非対称パターンを採用し、アウトサイドにはセミスリック部分にディンプルを配置。深く刻まれたストレートグルーヴは、現代ではなかなかお目にかかれない溝の深さである。また、インサイドのスクエアなショルダー、そしてアウトサイドのラウンドショルダーは、当時の紙図面から忠実にタイヤのプロファイルを再現しているという。

現代のタイヤは転がり抵抗を睨んで接地面が狭くてなで肩なものが多いが、ADVAN HF Type Dはトレッド面が平らでサイドがずんぐり丸い。ヒストリックカーにマッチしたシルエットを手にしている。ちなみにHF Type Dの「HF」はハイフィラー構造を、Type DのDはディンプルを意味している。

写真左がかつてのType Dで、右が現代の復刻版Type D。パッと見トレッドパターンは同じだが、ショルダーの形状や溝奥の形状など細かいところに現代の技術の進化が結集している

■デザインは同じでも性能は「現代」な理由

だが、新生ADVAN HF Type Dは、かつてのタイヤをそのまま再現したわけではないところがポイントのひとつ。欧州向けを考えて、通過騒音試験や転がり抵抗、そしてウエットグリップの規定値をクリアしているというのだ。

実はかつてのADVAN HF Type Dは、欧州でも同じパターンでYOKOHAMA A008として発売されており、主にポルシェの愛好家から好まれていた。それを知ったポルシェが後にそのタイヤを承認し、承認タイヤの証である“P”がタイヤ銘柄に入り、YOKOHAMA A008Pが発売されたという経緯があるのだ。

だからこそ、今回のADVAN HF Type Dもゆくゆくは欧州への投入を目論んでおり、欧州向けの規格をクリアしたのだ。ちなみに今年の10月以降、その規格をクリアしていないタイヤは欧州で販売することができない。

群馬サイクルスポーツセンターで試乗チェック。初代セリカもタイヤもすばらしいマッチング

トレッドパターンは前述した通りかつてのADVAN HF Type Dを忠実に再現してはいるが、溝の底はかつてのようにスクエアではなくラウンドさせ、溝深さについてもかつてよりは浅くなっている。

これにより路面にタイヤが叩きつけられた時に発生する音が軽減し、通過騒音がクリアできるようになったのだ。現代のタイヤがどんどん溝が浅くなっているのは、この通過騒音をクリアするための対処なのだ。

転がり抵抗についてはコンパウンドと構造がカギとなる。そこで発熱を抑えエネルギー損失を軽減するものを採用することでそれをクリア。ただし、荷重がかかった時にのみグリップするコンパウンドを採用しているため、ウエットグリップも落ちていない。

現代の様々な技術が投入されているからこそ、ADVAN HF Type Dは復刻することが許されたといってもいいだろう。

今回は、橋本洋平氏の愛車である初代ロードスターにもType Dを履いていただいてチェック。これがピッタリとのこと! このほかAE86レビン/トレノなどにも合いそう

そして走り味にも拘りがある。開発者曰く「自分で荷重をコントロールして操って楽しいタイヤを目指した」とのこと。

開発時には旧車オーナーを開発現場に迎えて様々なテストを行い、当時の乗り味をできるだけ再現しようと努力を重ねたらしい。

果たしてその乗り味はどうか? 今回はダルマセリカのオーナー様にもご協力頂く一方で、僕が所有しているユーノスロードスター1.6LにもADVAN HF Type Dを装着し、群馬サイクルスポーツセンターで存分に味わってみることにした。

次ページは : ■旧車の「よさ」を引き出すタイヤ

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