■車検が大幅緩和された場合にデメリットはあるか
日本もアフターパーツの装着などカスタムに関しては、かなり規制緩和された印象だが、相変わらずの頭が固いと思えるような保安基準も存在している。
例えばマフラーの音量やウインドウフィルムなどを厳格に規制することの合理性が今一つ理解できない。国際基準化で統一されている、というのであれば日本独自の右ウインカーレバーはどうなるのだろう。
サイドウインドウに透明なUVと熱線カットをするフィルムを貼っていて、それが経年劣化で透過率75%を下回ったからといって、どんな実害が生じるというのだ。真っ黒なフィルムで覆ってしまうと、横断歩道や交差点で側面にいる歩行者やドライバーとの意思疎通ができないし、こちらの存在を認識しているかも分からない。いわゆるアイコンタクトができない、という危険性はある。
そんな極端なケースは路上で取り締まればいいのであるし、車両の改造だけでなく自分勝手な運転をしているドライバーは軽微な違反でも検挙するべきではないだろうか。
■逆に車検が簡素化された場合のデメリットを考えてみよう。
ドライバーは日常点検や走行中の異音、振動、異臭などに気付いたら、クルマをディーラーなどの修理工場に持ち込むことになる。それはJAFなどのロードサービスに頼ることにもなりそうだ。
現状でもロードサービスはかなりの出動件数があり、盆暮れや行楽のシーズンには稼働率が跳ね上がる。車検が簡素化されたら、この傾向はますます強まり、ロードサービスを依頼しても数時間待ちは当たり前の状況になる可能性がある。
そしてブレーキの制動力不足や、灯火類の整備不良が原因で交通事故が起こった場合、ドライバーにはより大きな賠償責任や刑事罰、行政処分が下されることになる。したがって、自分でクルマを点検やメンテナンスができないドライバーは、結局定期的な点検を整備士にしてもらう必要がより高くなるのだ。
それに車検を簡素化するといっても、廃車まで同じレベルの車検では問題が起こる可能性がある。欧米では車齢が10年前後を迎えた頃から、車検が短くなっている地域も多い。それでも日本の車検や24ヶ月点検と比べれば簡単な車検だが、日本でも車検の期間については見習う必要があるだろう。
実情に合った車検制度へと切り替えていくのは、ドライバーの意識も変えていく必要があり、なかなかひと筋縄ではいかないことになりそうだ。
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