古いクルマの持ち主を苦しめるイジメ重課税はおかしい!!【旧車を大事に】

■ただ古いというだけで税額が約1.4倍に

 自動車税(軽自動車税)と自動車重量税が両方ともに増税されると、当然ながら税負担が大きい。継続車検を受ける時に納める2年分の自動車重量税+2年分の自動車税(軽自動車税)、つまり2年分の維持費を整理すると以下のようになる。

◆普通車の場合

【条件】小型/普通車(排気量:1.6〜2L/車両重量:1001〜1500kgの車両)

・エコカー減税車:2年分の自動車税(7万9000円)+2年分の自動車重量税(1万5000円)=9万4000円

・通常の税額:2年分の自動車税(7万9000円)+2年分の自動車重量税(2万4600円)=10万3600円

・13年オーバー:2年分の自動車税(9万800円)+2年分の自動車重量税(3万4200円)=12万5000円

・18年オーバー :2年分の自動車税(9万800円)+2年分の自動車重量税(3万7800円)=12万8600円

◆軽自動車の場合

・エコカー減税車:2年分の自動車税(2万1600円)+2年分の自動車重量税(5000円)=2万6600円

・通常の税額:2年分の自動車税(2万1600円)+2年分の自動車重量税(6600円)=2万8200円

・13年オーバー:2年分の自動車税(2万5800円)+2年分の自動車重量税(8200万円)=3万4000円

・18年オーバー:2年分の自動車税(2万5800円)+2年分の自動車重量税(8800円)=3万4600円

 上のリストからも分かるように、初度登録(届け出)から13年以上を経過した車両を所有すると、最大で1.4倍もの税金を負担させられる。

 この制度は数多くの問題を抱えるので、即刻廃止すべきだ。理由は以下のようになる。

■(1)社会福祉の逆行

 軽自動車を中心にして、老朽化した車両は、退職した高齢者によって使われることが多い。鳥取県/山形県/長野県などでは、10世帯に10台以上の軽自動車が保有され、人口に占める65歳以上の高齢者比率も30%を上まわる。

 つまりこれらの地域では公共の交通機関が未発達だから、高齢者が初度届け出から13年を超えた軽自動車を使って、日常の通院や買い物をしている現実がある。

 このような人達に重税を課して苦しめるのが今の自動車税制だ。高齢者にとって自動車の増税はライフラインの切断を意味する。生存権にも影響を与え、もちろん社会福祉にも逆行する。

 ちなみに東京都は軽自動車の普及率が全国で最下位だ。10世帯で1台少々にとどまり、65歳以上の高齢者比率も23%と低い。

 したがって東京の霞ケ関や永田町から、日本の切実な自動車事情と、高齢化社会の現実はまったく見えない。自動車行政は、自動車がライフラインとして機能する地域で考えるべきだ。政治も常に現場で仕事をしないと判断と行動を誤る。

■(2)課税根拠の崩壊-1「もはやクルマは贅沢品ではない」

 自動車税はもともと「財産税」、あるいは「贅沢税」として設けられた。高額な財産で、所有すれば行動半径も広がるため、多額の利益を生み出せる。そこで自動車税の徴税が開始された。

 ちなみに軽自動車税は1958年に廃止された「自転車荷車税」の後継として整備された経緯があり、昔は自転車や荷車も課税の対象だった。

 この趣旨に沿って考えれば、退職した高齢者の移動手段として使われる古い軽自動車は、もはや財産税とか贅沢税の対象にはなり得ない。

 そして、もし自動車が贅沢な財産だと仮定するのであれば、自動車税の税額を経年劣化に応じて下げないと理屈が通らない。時間の経過に伴って車両の財産(資産)価値も減るからだ。

 要は減価償却の考え方が必要になる。初度登録から13年を経過した車両は、中古車価格が10万円以下になったりするが、そこに年額4万5400円(1.6〜2L)の重税を課すのは、自動車税の趣旨に真っ向から反する。まったく理屈が通らない。

 また、そもそも自動車重量税は、自動車が道路を傷つけ、道路の建設や整備費用は自動車ユーザーが負担すべきという趣旨で設けられた。そのために車両重量に応じて課税している。

 しかし車両が古くなっても車両重量が増えたり、道路の損傷を拡大させることはないから、これも増税の根拠がない。

次ページは : ■(3)課税根拠の崩壊-2「道路特定財源は廃止されたのに」

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

S-FR開発プロジェクトが再始動! 土屋圭市さんがトヨタのネオクラを乗りつくす! GWのお得情報満載【ベストカー5月26日号】

S-FR開発プロジェクトが再始動! 土屋圭市さんがトヨタのネオクラを乗りつくす! GWのお得情報満載【ベストカー5月26日号】

不死鳥のごとく蘇る! トヨタS-FR開発計画は再開していた! ドリキンこそレジェンドの土屋圭市さんがトヨタのネオクラシックを一気試乗! GWをより楽しく過ごす情報も満載なベストカー5月26日号、堂々発売中!