トップグレードの動力性能はスポーツカーを凌駕
アリアで最もパワフルなのは、4WDの90kWh搭載車だ。動力性能は4WDの65kWh搭載車以上に高く、最高出力は290kW(394ps)、最大トルクは600Nm(61.2kgm)に達した。
0-100km/h加速は5.1秒に向上して、最高速度は200km/hだ。航続可能距離は最大580kmだから、長距離移動も十分に可能になる。
0-100km/hの発進加速タイムが5秒台ならスポーツカー並みで、しかもアリアはモーター駆動だから瞬発力が特に高い。
巡航中にアクセルペダルを一気に踏み増した時の駆動力変化は、ガツン!と蹴飛ばされた感覚で、0-100km/hが5.1秒のガソリンエンジンを搭載するスポーツカーを上回るはずだ。
緻密な制御がもたらす無限の可能性
アリアはカーブを曲がる性能も高い。2WDを含めて4輪のブレーキが独立制御され、必要に応じて内側をブレーキングすることにより、車両を積極的に回り込ませる。
また4WDはモーターを前後に独立して搭載するから、駆動力の配分も自由自在だ。
例えば峠道などを走る時、後輪の駆動力を高めて前輪は低くすれば、後輪駆動車のような曲がりやすい挙動を作り出せる。
そこにブレーキの4輪独立制御も加えると、ステアリング、アクセル、ブレーキ操作に忠実な走りを行えるわけだ。
前述のようにモーターは機敏に反応するから、エンジンが駆動するクルマとは違う綿密な駆動力制御も可能になった。この度合いは4WDになると一層深まる。
充電性能も大きく進化
プラットフォームは新開発され、サスペンションは前輪がストラット、後輪はマルチリンクだ。駆動用リチウムイオン電池は床下に搭載されるから、低重心になって走行安定性を確保する上でも有利になった。
アリアをSUVにした背景には、床下に駆動用リチウムイオン電池を搭載しやすい事情もあった。アウトランダーPHEVなども同様だ。
充電の所要時間は、残量がほとんどない場合、普通充電では65kWhが12時間、90kWhは17時間を要する。電池容量が大きいため、充電に要する時間も長い。
急速充電を使うと、30分で375km(WLTCモード)を走行可能な充電が行える。ちなみに以前は、急速充電を繰り返すとリチウムイオン電池の劣化が早まるから、普通充電も併用するよう推奨された。
アリアではこの点が大幅に改善されている。PTC素子ヒーターやヒートポンプシステムを利用して、リチウムイオン電池の温度を常に調節しているから、急速充電に対する耐久性も向上した。
日本では総世帯数の約40%が集合住宅に住むから、現実的には、自宅に普通充電設備を持てないユーザーも多い。
従って集合住宅の入居者が電気自動車を所有すれば、必然的に販売店などの急速充電器に頼ることになる。リチウムイオン電池の温度調節が正確に行われて急速充電器を頻繁に利用しやすくなれば、多くのユーザーが電気自動車を所有できる。
日本の市場では、急速充電の不安を解消するのは大切なことだ。
また従来以上に短い時間で充電を可能にする最大出力150kWの急速充電器も、2021年度には公共性の高い場所に設置されるよう作業を進めているという。
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