■気になる点はあれど トータルでよくまとまっている走り
では、最後にその走り味だ。ヤリスに比べて車高は60mm、最低地上高は40mm上がっている。したがってアイポイントも60mm上がっているので前方視界がよく、混雑した都市部で運転しやすい。Aピラーもヤリスに比べて立っていることも一因だ。
試乗したモデルは18インチ(215/50R18)仕様だったのだが、サスペンションのホイールトラベル初期の動きがスムーズで、路面の凸凹の処理が2560mmというホイールベース以上に感じる穏やかな乗り心地。


この点、ガソリンエンジンとハイブリッドでは少し差があって、ハイブリッドモデルのほうが少ししなやかで上質感がある。これはハイブリッドバッテリー搭載のために骨格が補強されていることも起因しているようだ。音振ではガソリンエンジンモデルの3000rpm以上のノイズがもう少し低減されれば迷わずスキー好きな筆者はこっちを選ぶ。
加速感はやはりハイブリッドのストップ&ゴーは素晴らしくストレスがない。ガソリンエンジンモデルは劣るがこちらもCVTのコントロールがいいので気になるほどではない。また3気筒エンジンらしい振動感はあるが、気になるレベルではまったくない。

ドライビングポジションは電動シートのおかげでマルチに調整可能。ただしトヨタ初の1モーターによるパワーシートなので、調整ボタンの形状に試乗中悩まされた。1モーターですべてのシート調整を行うにはクラッチによる切り替えが必要なため、これまで使ったことがない形状なのだ。いずれにせよこれは慣れが必要。
後席試乗も行った。リヤシート座面の長さも、背もたれの高さもしっかりあり、クッションフィールがホールド感も含め絶妙によく、後席の乗り心地はかなり良好。ヤリスに比べて左右ドアが立っていて余裕がある。天井も十分な高さで、間際にリヤガラスが来ることもなく安心感が高い。

最後にステアリングフィールにはこだわったというだけあって、ステアの切り始めの応答性と手ごたえが自然でとてもいい。電動パワーステアリングのパワーアップやサプライヤー変更、そしてトヨタ最新のプログラムを採用しているという。
コンパクトSUVにも妥協を許さないトヨタ式モノづくりの姿勢が、ヤリスクロスを上質に仕上げている。

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