■パワフルなPHEVシステム
新採用のPHEVパワートレーンは、フロントにエンジン+モーター、リアにモーターを備えるツインモーターユニットである。
エンジンには、ハイチューン仕様の2.0L直列4気筒ガソリンターボエンジンを搭載。最高出力200ps(147kW)、最大トルク300Nmを発揮。前輪用の駆動モーターは、最高出力110ps(81kW)、最大トルク320Nmを発揮する高出力なもの。
このフロント側モーターは、8速ATに内蔵。この電動化に合わせて、トランスミッションのトルクコンバーターを排して、湿式多板クラッチに変更されている点も特徴のひとつ。
後輪駆動を担うリア側モーターは、最高出力112ps(83kW)、最大トルク166Nmと、フロントモーターとも仕様が異なる。取付は、サブフレームに内蔵式となり、スペース効率を最大化。リダクションギアを介することで前後のバランスを取るという。
また前後それぞれの独立した駆動制御ができるので、自由度の高さも持ち味となる。
駆動用のリチウムイオン電池は、リアシート下に搭載。燃料タンクも燃費向上のため62Lから43Lに削減されている。充電は200Vの普通充電のみ対応。標準装備となる3kWの車載充電器では、約5時間で満充電となる。
ハイブリッドシステムの性能は、トータル出力が300ps、トータルトルクが520Nmと、かなりパワフル。これはエンジン車の最高出力を上回るだけでなく、クリーンディーゼルターボエンジンの最大トルク400Nmをも大きく超えるものだけに、最も高性能なDSモデルでもあることを示している。
■DSらしい優雅で快適な「E-TENSE 4×4」
DS 初の4WDシステム「E-TESE 4×4」は、主にドライブモードで制御する。ドライブモードには、「4WD」、「SPORT」、「HYBRID」、「COMFORT」、「ELECTRIC」の全部で5つのモードを用意。
始動時のデフォルトは、モーター走行を基本とした「ELECTRIC」となる。EV走行は135km/hまで対応できる。
最も幅広く活躍するのが「HYBRID」で、モーターとエンジンをシームレスに切り替える最も効率よく走る。もちろん、駆動バッテリーの残量があれば、モーター走行を優先する。
「SPORT」は、エンジンの活躍範囲を拡大し、スポーティな走りを重視したもの。ターボエンジンと8速ATの活躍を期待でき、スポーツモデルのような雰囲気も楽しめる。
快適性を高める「COMFORT」は、基本的には「HYBRID」モードの制御となるが、DSアクティブスキャンサスペンションを活用するのがポイント。サスペンションのコントロールを行うことで、往年の名車「DS」の「魔法の絨毯」感覚をイメージした乗り心地が楽しめる。まさにDSらしいモードだ。
そして目玉の「4WD」は、前後の駆動をリアルタイムで制御することで、SUVらしい悪路走破性を発揮したもの。これまでDSは、街乗り高級SUVというイメージが強かったが、そこにオールラウンダーの価値を加えた「E-TENSE 4×4」の秘密兵器というべきもの。
当然、電動車が得意とする効率を優先し、路面状況に応じてはFFにもなる。またシステム作動速度は、135km/hに設定されており、それ以上の領域では「HYBRID」に切り替わる仕組みだ。
もっとも如何なる走行モードでも、状況に応じてエンジンとモーターの駆動がシームレスに切り替わるようになっており、PHEVのよさを最大限活用したシステムとなっている。
満充電時のEVモード航続距離は、56km(WLTP)を実現。主体となるハイブリッド走行での燃費消費率は、14.0km/L(WTLC)と公表されている。
四駆のPHEVシステムということもあり、燃費面では、やや重量増が不利ともなるが、日常なら、ほとんどEVモードでカバーできるため、積極的に充電機能を使えば、走行コストを抑えることは簡単にできそうだ。
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