あんた誰なん!? どうして名前が違う? 輸出先で[名前を変えたクルマたち]

あんた誰なん!? どうして名前が違う? 輸出先で[名前を変えたクルマたち]

 クルマにつけられる名前の由来はさまざまだが、市販車であるなら基本的にそのクルマを引き立てる意味が盛り込まれる。だが、なかには母国以外、あるいは特定の地域で違う名前を持つクルマがある。果たしてその理由は?

文/長谷川 敦、写真/トヨタ、ヒョンデ、フォード、三菱自動車、CarWp.com

1987年に発売されたトヨタ セリカXXの初代モデル。2代目セリカリフトバックをベースにした上級バージョンだが、北米ではこの名称がマズかった?
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言語が違うと下品になっちゃう!?

あんた誰!? どうして名前が違う? 母国と輸出先で[名称を変えた]クルマたち
1987年に発売されたトヨタ セリカXXの初代モデル。2代目セリカリフトバックをベースにした上級バージョンだが、北米ではこの名称がマズかった?

●トヨタセリカ XX→スープラ

 最初に紹介するのは、この手の話では有名な車種だ。

 トヨタのスープラは世界的にも人気を集めたスポーツカーだが、実は、販売当初の日本国内ではスープラではなくセリカXXという名称だった。

 1978年に販売が開始されたトヨタ セリカXXは、人気スポーティクーペ・セリカの上級車種として登場したもので、セリカのイメージを受け継ぎつつ、エンジンの大型化などによってより高い性能が与えられていた。

 このセリカXXは北米での人気が高かった日産 フェアレディZの対抗馬としても期待されていたのだが、そのためには変えなくてはならないことがあった。

 それが車名で、セリカXXは北米ではスープラという名で販売されたのだ。

 「未知数」を表す意味のXXが、北米では成人指定映画を指すというのが変更の理由であり、それゆえにラテン語で「至上」の意味を持つスープラの名になった。

 しばらくの間は日本国内でセリカXXの名称が使用されていたものの、1986年の3代目モデルのデビューを機に世界的にスープラに統一された。

●ヒョンデ コナ→カウアイ

 韓国のヒョンデ(現代)は、自社のSUVに有名な地名を用いることが多く、2017年に登場したコナ(Kona)の名もハワイ島の地名に由来している。

 と、ここまでは良いのだが、問題はそのコナという発音がポルトガルではどういう意味にとられてしまうのかということ。

 実はコナは、ポルトガル語では女性器を表す言葉になってしまい、当地の人にとっては奇異な印象を与えることになる。

そのためコナは、同じくハワイの地名に関連した名称のカウアイ(Kauai)に変えてポルトガル市場で展開されている。

●トヨタ MR2→MR

 トヨタが1984~1999年に販売していた2シータースポーツカーのMR2。

 このMR2の由来はシンプルなもので、ミドシップ(M)・ラウンドアバウト(R)・2シーター(2)、またはミドシップ(M)・リアドライブ(R)・2シーター(2)からとられている。

 日本国内をはじめ、ほとんどの国ではMR2で問題なかったものの、フランスではこの名称が採用されなかった。

 フランス流にMR2を発音すると、フランス語の「Merde」に近くなるのだが、このMerdeは、悪態をつく時に使う言葉、日本語でいえば「クソッ」や「チクショウ」にあたってしまった。

 さすがにこの名称を市販車に使うわけにはいかず、フランスではMR2ではなくシンプルなMRという名称に変更された。

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下品ではないが適切でもない?

●三菱自動車 i-MiEV→Electric Vehicle

 i-MiEV(アイ・ミーブ)は、三菱自動車が販売していた小型の電気自動車(EV)。

 同社製軽自動車のiをベースにしたモデルで、車名のMiEVはMitsubishi Innovative Electric Vehicleの略。

 前後を切り詰めたコンパクトなボディが特徴のi-MiEVは、リチウムイオンバッテリーを採用した世界初の量産型EVとしても注目を集め、フランスのプジョーやシトロエンにもOEM供給されていた。

 このように先進性の高いi-MiEVだったが、「ミーブ」の音がドイツ語圏では「Mief(臭い)」に聞こえてしまうことがわかった。

 さすがに時代の先端をいくEVの名称が「臭い」では具合が悪く、ドイツでのi-MiEVの名称はシンプルなMitsubishi Electric Vehicle(三菱電気自動車)に差し替えられた。

●ヴォクスホール ノバ→オペル コルサ

 「新星」を意味するノバ(Nova)がクルマの名称になることは多く、アメリカのシボレーやロシアのラーダ、そしてイギリスのヴォクスホールからこの名を持つモデルが登場している。

 もちろんこの名が採用されるのは、「新星」が良い意味を持っているからであり、シンプルで覚えやすいというのも理由になる。

 しかし、これがスペイン語圏では問題が出てきてしまう。

 スペイン語でノバ(no va)をそのまま訳すと「働かない」になり、本来の意味の新星とはかけ離れてしまう。

 当然ながら、スペイン語圏の人が英語由来の車名を見て母語の意味で解釈することはないだろうが、それでもイメージが良いとはいえない。

 シボレーとラーダのノバがスペイン語圏で改名されたという話は聞かないが、幸いなことにヴォクスホール ノバは、そもそもスペインではオペル コルサとして販売されていたため、この問題を回避できた。

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