【ダントツの優位性に陰り!?】自動ブレーキの代名詞!! スバル「アイサイト」は今でもNo.1なのか

「アイサイト」の安全神話に陰りが見え始めた!? 近年、自動ブレーキを筆頭とする運転支援システムが飛躍的に進化。各メーカーが日進月歩した今も先駆者スバルはNo.1なのか?

 日本自動車工業会によると、今では新車の約80%に緊急自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)が装着されている。販売店からも「自動ブレーキを備えていない車は売るのが難しい」という声が聞かれる。

 なかでも、緊急自動ブレーキを普及させるうえで、大切な役割を果たしたのがスバルの「アイサイト」。「ぶつからないクルマ」のキャッチフレーズで一世を風靡した自動ブレーキの代名詞的存在だ。

 しかし、最近では国産各社の緊急自動ブレーキも飛躍的に進化し、スバルの優位性が薄れたとの指摘もある。そうしたなかでアイサイトは今でもNo.1といえるのか?

文:渡辺陽一郎
写真:編集部、SUBARU、LEXUS

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高性能を安価に提供! 先駆者アイサイトの進化と歩み

自動ブレーキの先駆者として安全性向上に貢献したアイサイト。2010年5月発売の改良型レガシィに安価な“バージョン2”が設定され、一気に普及が進んだ

 スバルは1988年にステレオカメラの研究に着手した。1998年には、ステレオカメラを使った世界初の運転支援機能を搭載するレガシィランカスター ADAを発売している。

 2008年にはレガシィにアイサイトが搭載され、2010年のアイサイト“バージョン2”で、人気が急速に高まった。ADAの時代には約70万円に達した機能が、アイサイト“バージョン2”では10万円+消費税まで下がったからだ。

 アイサイトはその後も進化を続け、センサーとなるステレオカメラの視野を拡大したり、カラー画像化によってブレーキランプの点灯も認識できるアイサイト“バージョン3”に発展した。

 この後にアイサイト“ツーリングアシスト”が加わったが、注目点は運転支援機能に置かれる。路上の白線だけでなく、先行車の動きも検知してパワーステアリングの操舵を支援するから、白線を読めない低速域でも操舵制御が途切れにくい。

 緊急自動ブレーキの進化は特にアピールされていないが、開発者によると「従来のアイサイト バージョン3に比べて、夜間の歩行者検知性能を高めた」とのことだ。運転支援機能だけを進化させたわけではない。

アイサイトと国産他社の自動ブレーキ評価は?

2018年にフルモデルチェンジされたフォレスター。先行車追従機能にハンドル操作支援が加わった「ツーリングアシスト」は、同車を含めて、2019年改良モデルのインプレッサ/XVにも追加採用されている

 そこでアイサイトの性能をほかの車種の安全装備と比べてみたい。

 特に重要なのは、安全性を高める衝突被害軽減ブレーキだ。自動車事故対策機構では、緊急自動ブレーキのテストを行っている。その評価を動画も含めて公開しているから、車種は限られるものの、衝突被害軽減ブレーキの性能を比較できる。

 その最新版(2019年度版)のテスト結果を整理すると以下の通りになる。

■車種:スバル フォレスター

●衝突被害軽減ブレーキ(対車両)の評価:32.0/32.0
・対停止の車両:50km/hで衝突を回避
・対走行中の車両:60km/hで衝突を回避
●衝突被害軽減ブレーキ(対歩行者)の評価:70.4/80.0
・駐車車両なし(大人):60km/hで衝突を回避
・駐車車両なし(子供):40km/hで衝突を回避
・駐車車両あり(大人):40km/hで衝突を回避
・駐車車両あり(子供):40km/hで衝突を回避
・夜間の街灯あり(大人):60km/hで衝突を回避
・夜間の街灯なし(大人):30km/hで衝突を回避

■車種:レクサス UX

●衝突被害軽減ブレーキ(対車両)の評価:32.0/32.0
・対停止の車両:50km/hで衝突を回避
・対走行中の車両:60km/hで衝突を回避
●衝突被害軽減ブレーキ(対歩行者)の評価:80.0/80.0
・駐車車両なし(大人):60km/hで衝突を回避
・駐車車両なし(子供):40km/hで衝突を回避
・駐車車両あり(大人):45km/hで衝突を回避
・駐車車両あり(子供):40km/hで衝突を回避
・夜間の街灯あり(大人):60km/hで衝突を回避
・夜間の街灯なし(大人):60km/hで衝突を回避

■車種:レクサス NX

●衝突被害軽減ブレーキ(対車両)の評価:32.0/32.0
・対停止の車両:50km/hで衝突を回避
・対走行中の車両:60km/hで衝突を回避
●衝突被害軽減ブレーキ(対歩行者)の評価:80.0/80.0
・駐車車両なし(大人):60km/hで衝突を回避
・駐車車両なし(子供):40km/hで衝突を回避
・駐車車両あり(大人):45km/hで衝突を回避
・駐車車両あり(子供):40km/hで衝突を回避
・夜間の街灯あり(大人):60km/hで衝突を回避
・夜間の街灯なし(大人):60km/hで衝突を回避

■車種:レクサス ES

●衝突被害軽減ブレーキ(対車両)の評価:32.0/32.0
・対停止の車両:50km/hで衝突を回避
・対走行中の車両:60km/hで衝突を回避
●衝突被害軽減ブレーキ(対歩行者)の評価:79.2/80.0
・駐車車両なし(大人):55km/hで衝突を回避
・駐車車両なし(子供):40km/hで衝突を回避
・駐車車両あり(大人):45km/hで衝突を回避
・駐車車両あり(子供):40km/hで衝突を回避
・夜間の街灯あり(大人):60km/hで衝突を回避
・夜間の街灯なし(大人):60km/hで衝突を回避

■車種:ホンダ N-BOX

●衝突被害軽減ブレーキ(対車両)の評価:32.0/32.0
・対停止の車両:50km/hで衝突を回避
・対走行中の車両:60km/hで衝突を回避
●衝突被害軽減ブレーキ(対歩行者)の評価:72.6/80.0
・駐車車両なし(大人):60km/hで衝突を回避
・駐車車両なし(子供):40km/hで衝突を回避
・駐車車両あり(大人):35km/hで衝突を回避
・夜間の街灯あり(大人):60km/hで衝突を回避
・夜間の街灯なし(大人):60km/hで衝突を回避

対車両の自動ブレーキはもはや差がつかない時代に

「レクサス セーフティプラス」を採用するUX。今や対車両では自動ブレーキの性能評価に差がなくなってきているが、夜間の歩行者検知性能では違いも

 2019年度のテスト結果を見ると、車両に対する緊急自動ブレーキの性能は、もはや差が付かなくなってきた。

 停車中の車両に向けて走り、緊急自動ブレーキを作動させた場合、50km/hであればここで取り上げた5車種はすべて衝突せずに停止できている。

 走行中の車両に接近した時も、60km/hでは、緊急自動ブレーキによって衝突を回避した。2019年度のテストで、タントだけは停止車両に50km/hで近付いて衝突したが、ほかの車種は同じ成績だ。走行速度をもう少し引き上げるなど、優劣が分かるようにする必要がある。

 対歩行者は車種によって評価が異なる。特に夜間の街灯がない真っ暗な道路を歩行者が横切っている時、フォレスターが衝突せずに停止できた速度は30km/hとされるが、ほかの4車種は60km/hでも停止している。

 また、駐車車両のない昼間の道路を歩行者が横断している場合、フォレスターが衝突せずに停止できた速度は60km/hだが、レクサス ESは若干低い55km/hであった。

スバルのアイサイトは今も国産No.1なのか

スバル フォレスターの予防安全性能 2019年度評価(出典:自動車事故対策機構)

 以上の自動車事故対策機構の最新テスト結果を見ると、フォレスターが搭載するアイサイトの安全性能は全般的に優れているが、すべての項目で1位を取っているわけではない。

 特に歩行者に対する衝突被害軽減ブレーキの性能は、フォレスターの場合、80点中の70.4点であった。満点の80点を獲得している車種もあるため、街灯のない夜間における歩行者検知能力など、改善すべき点も生じている。

 過去を振り返ると、ステレオカメラを使うアイサイトは危険を発見する能力が優れ、自転車の検知機能も早期から備えていた。それが今ではライバル車も進化して、優位性が次第に薄れてきた。

 それでもスバル車は、全般的に危険を避ける走行安定性が優れ、視界も良いから、安全の総合性能は高い部類に入る。

 安全性能と車両価格のバランスでも、インプレッサ、XV、フォレスターといった最先端のアイサイトツーリングアシスト装着車は買い得だ。

 これらの車種は、歩行者保護エアバッグも標準装着している。安全性を支えるさまざまな機能や装備をライバル車と比べて判断したい。

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